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三菱重工ニュース
2005年5月10日 発行 第 4354 号

津波・高潮対策用に着脱式の膜式防潮堤を開発
軽量、簡便、経済的な防災施設
 三菱重工業は、津波や高潮などに対する防災施設として、高強度繊維の膜とロープからなる膜式防潮堤「シティバリア(商品名)」を開発した。薄くて軽く、着脱が容易でありながら、柔軟構造により大きな水圧に耐えるのが特徴。この製品は、神戸市の苅藻島の防潮堤に採用された。


膜式防潮堤「シティバリア」
膜式防潮堤「シティバリア」
 膜式防潮堤は、膜体と、膜体を支える横方向に配置した数本のロープからなるシンプルな構造。ケーブル構造の長大吊橋や大規模な膜構造物を建築する際の設計・解析技術力を応用したもので、津波・高潮などの大水圧荷重に対しても膜応力とロープ引張力のみでしっかりと耐える最も合理的な構造形式となっている。

 膜体やロープには、高強度合成繊維※1を使用しており、引張強度は鋼材の約8倍。平時は巻き取って収納し、緊急時に取り出し広げて設置する。設置時間は大人2人で10分以内(苅藻島防潮堤規模のケース)。人力のみで動力や工具は不要。

 膜式防潮堤は、水の侵入が予想される開口部に膜体を張り、膜面に作用する水圧を、ロープを介した吊り構造で、両端の固定点に伝達して浸水を防ぐ仕組み。防潮扉や金属パネルを並べる従来工法のように、床面にレールや戸溝を設置する基礎工事を必要とせず、水位差によって生じる水圧が膜体を床面に押しつけるメカニズム(セルフシール機構)を利用して止水性を確保している。

 苅藻島防潮堤では、高潮などの水位上昇に対し、防潮提の切れ目にあたる人工島への入口道路を締め切ることで、島内への流水を防ごうというもの。締め切るのは道路幅13m、高さ0.8m。当初は橋の中間地点(中央)に支柱基礎の設置が欠かせない従来の工法の適用が検討されたが、その必要がなく、道路の通行止を伴う道路工事が不要な膜式防潮堤が採用された。

 インドネシア・スマトラ沖地震の記憶も新しい中、大地震発生に伴う津波や、台風による高潮や豪雨による浸水、地球規模の異常気象に伴う潮位上昇などに対する防災意識が急速に高まりつつある。

 これら津波、高潮、浸水に対する新しい防災施設の一つである膜式防潮堤は、今回のような開口が数m~数10m規模の陸こう※2、防水扉などはもちろん、数10m~数100mに及ぶ港湾や漁港の防波堤開口部(航路)にも適用可能であることから、当社は今後、国や地方自治体へ積極的に提案していく。

※1 膜体やロープに使用した繊維素材は、米航空宇宙局(NASA)の火星探査機「スピリット」が2004年1月の火星着陸の際に用いた衝撃吸収用エアバックの材質と同じ高強度繊維。その引張強度は3,000N/mm2を超える。
※2 可動式横引きの鋼製扉。通常は車両等の通行を確保するため格納してあるが、高潮時など緊急時には道路を封鎖し、閉鎖する。



営業窓口:鉄構建設事業本部 橋梁部
製作事業所:神戸造船所

以  上