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三菱重工ニュース
2005年2月3日 発行 第 4312 号

世界初 加圧水型原子炉の炉内構造物一体取替え工事を実施
炉内構造物を分割・切断せずに取り出す新工法を採用
 三菱重工業は3日、四国電力伊方発電所1号機(56万6,000kW)において、世界で初めて原子炉容器内部にある上部・下部炉内構造物の一体取替え工事を完了した。この工事は、高燃焼度燃料※1の採用に伴う制御棒増設への対応と、炉内構造物を構成するバッフル板※2を取り付けているボルト(バッフルフォーマボルト)の応力腐食割れ※3による海外での損傷事例を受けた予防保全として、最新設計の炉内構造物への取替えを実施したもの。取替え対象である既設の炉内構造物を分割・切断せず、一体のまま大気中で原子炉容器から取り出す新工法の開発により、短工期(5ヵ月)での取替えを完遂したほか、工事従事者の大幅な被ばく低減も達成した。


四国電力伊方発電所1号機
炉内構造物 据付作業状況
 この取替え工事は、伊方1号機の定期検査工事の一環として実施された。取替え対象となった炉内構造物は、全長約8m、内径約2.8m、重量約100トンのステンレス製で、燃料集合体を収納する下部構造物と、それを上部から支持する上部構造物からなる。この構造物の搬出は、工事従事者が近接できない高い放射線の環境下での作業となったため、上部・下部構造物を分割・切断する作業を行わず、一体のまま原子炉容器から大気中で専用の鋼製保管容器まで特設のクレーンで吊り上げ、収納し、原子炉格納容器から搬出するという工法で実施した。取替えた炉内構造物を収納した保管容器の搬出時の重量は、約450トンに達した。

 新しく設置された炉内構造物は、水で満たされた原子炉容器内に据え付けられたが、原子炉容器と炉内構造物の最小隙間は約0.4mmという発電所建設時と同等のきわめて高い精度が要求された。そのため、遠隔操作で高精度の位置決めを行う「水中高精度遠隔操作計測装置」を新たに開発・実証の上、適用した。
 今回の工事を実施するに当たっては、当社神戸造船所において工法面での綿密な事前検証とトレーニングを実施することで、厳しい施工条件をクリアした。

 四国電力では本年9月からの伊方2号機の定期検査でも、今回と同じ炉内構造物取替え工事が計画されているが、当社は引き続き今回の経験と技術を活かし、原子炉の予防保全対策などに積極的に取り組み、原子力発電所の安全運転支援に全力を挙げていく。


※1
高燃焼度燃料= 燃料中の燃えるウラン(U235)の濃縮度を高めて原子炉内でより長く使用できるようにした燃料。
※2 バッフル板= 炉心の外周に沿って設置され、冷却材(水)の流路の形成を主な目的とする構造物。
※3 応力腐食割れ= 酸素、塩素に触れるなど、金属が腐食しやすい環境下で応力(外力に応じて内部に生じる抵抗力)が働いている場合に、腐食しにくい環境下よりも低い応力で金属が破壊されること。材質的要因、応力要因、環境要因(溶存酸素の存在)の3つの要因が重複することにより発生する。




営業窓口:原子力事業本部 原子力部
製作事業所:神戸造船所

以  上