ページの先頭です。 ページの本文へ メインメニューへ フッタへ
ページの本文です。

ニュースレターNo.177 2004年11月22日
三菱重工業株式会社

近畿車輌株式会社
三菱重工業株式会社
東洋電機製造株式会社
国産初の100%超低床LRV(Light Rail Vehicle)車両を開発
第1号車両を広島電鉄に納入
 近畿車輌、三菱重工業、東洋電機製造の3社は共同で、国産初の100%超低床LRV(Light Rail Vehicle)車両「U3・ALFAVehicle」※1~3を開発、第1号車両を広島電鉄(広島県広島市)に納入する。床面を路面近くまで低くし、車内全長にわたってフラットとしたことで、高齢者や身体障害者などの方々にも円滑な乗降と快適な移動を提供する。第1号車両の営業線への投入は2005年3月の予定。


広島電鉄向け 国産初の100%超低床LRV車両
広島電鉄向け 国産初の100%超低床LRV車両

 わが国の実情に合わせ国産技術で開発した「U3・ALFAVehicle」は、車両長30mで5車体(3台車)連接の構成。台車部分については、国土交通省の支援を得て鉄道車両関連メーカー8社※4で構成した「超低床エルアールブイ台車技術研究組合」の研究成果をベースに、バリアフリー化、低騒音・低振動、低速から高速までの幅広い走行性能などを実現したもの。

 100%低床車両については、独立車輪台車などの技術開発面で長く欧州メーカーが先行していた。そのため、1997年に熊本市交通局へ初の低床LRVが導入されて以来、これまでわが国に登場した100%低床LRVはすべて欧州メーカーからの輸入または技術導入によるものであり、運用性やメンテナンス性などから一刻も早く日本の実情に合わせた、国産による100%フルフラットの超低床LRVの開発が待たれていた。このための重要な要素である台車の基礎研究※5を担うために、「超低床エルアールブイ台車技術研究組合」が2001年に設立された。

 100%超低床車両開発のカギを握ったのは独立車輪方式の台車。通常、左右の車輪の間は車軸でつながっているが、床面の高さは車軸の高さによって決められてしまう。そのため、台車には車軸のない独立車輪を採用、その外側に電動機や歯車装置を配した※6。この台車をコンパクトにしたことにより、出入り口部の床面高さは停留所から車椅子で直接乗り込める330 mm(通路部360mm)、通路幅もゆったりとした880 mm(動台車部)&1,120 mm(従台車部)を実現、従来の同タイプの車両に比べておよそ20%座席定員を増やすことができた。また、電動機制御にはVVVFインバータ※7、制動には電気式・機械式を併用し、あらゆる速度域からの停止も安全に行えるブレーキシステムを導入したことで車両の運動性能と走行安定性を確保して、設計最高速度も80km/hが可能となった。

 そのほか、弾性車輪による低騒音・低振動化、回生ブレーキ※8の採用による省エネルギー化、伝送制御※9の採用による信頼性の向上、システム・部品の国産化によるメンテナンス性の向上、都市の景観にマッチする高いデザイン性などを実現、新時代の地方中核都市にふさわしい、環境に優しく、人に優しい公共交通を実現する車両となっている。

 路面電車は現在、国内19事業者(19都市)により約1,000車両が運行されているが、広島電鉄はそのうち266車両を抱える最大手。営業線も35.1kmと最も長く、1日平均利用者は16万人に達している(日本全体の1日平均利用者数は約56万人)。

 3社は、今回納入の初号機に続き、広島電鉄の継続採用を強く期待しており、また、この車両納入を契機に、日本での新しいLRT※1の拡大を支援していく。さらに、この超低床LRVが先行する欧州勢のLRVに比して十分な競争力を持つところから、海外へもターンキー方式で積極的に営業アプローチを展開していく。
 なお海外ターンキー工事では現地出荷前の走行確認試験も必要となることから、三菱重工業 プラント・交通システム事業センター(広島県三原市和田沖)内に車両実験線(軌間1,435mm)をすでに建設、現在、「U3・ALFAVehicle」の走行確認試験中である。


※1
  LRVとLRT = LRTは「軽量軌道交通」であり、LRVはそのための車両をいう。
※2   100%超低床 = 低床LRVのうち、すべての床がフラットな100%低床車両のこと。 この他、運転席や台車部分以外の客室に低床部を設けた70%低床車両、出入り口部などのみを低床にした部分低床車両がある。
※3   U3・ALFAVehicle = 「U3」は、3社が開発ポリシーとして掲げてきた「Ultimate(究極の)」「Urban(都会的)」「User friendly(お客様に優しい)」を表現したもので、個別メーカーの枠を超えた「U3-Project」として開発が進められた。「U3・ALFAVehicle」は「Advanced Low Floor Articulated Vehicle」(新型+低床+連接 車両の略)。
※4   「超低床エルアールブイ台車技術研究組合」の構成メンバーは、アルナ車両、川崎重工業、近畿車輌、東芝、東洋電機製造、ナブコ、日本車輌、三菱重工業の8社。
※5   研究組合では日本での使用が多い軌間1,067mmで3タイプの台車を研究・開発。
今回の「U3・ALFAVehicle」は広島電鉄の軌間である1,435mmの台車である。
※6   この部分は簡単に脱着できる構造となっていて、保守時や緊急時の作業性を高めている。
※7   VVVFインバータ = 架線の直流電力から周波数・電圧を変換し、交流電力を誘導モーターに与えて駆動する制御装置。高加速度性能が期待できる。
※8   回生ブレーキ = 減速時のブレーキ力を電力として取り出すしくみを持ったブレーキ。「U3・ALFAVehicle」には、電気・機械に加えてレールを押さえつける方式の保安ブレーキの3種類を備え、安全性を高めている。
※9   伝送制御 = 1対1の配線ではなく、1本の電線に多重の情報信号を乗せる方式。




以  上