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三菱重工ニュース
2004年7月26日発行 第4254号

TFT液晶絶縁膜成膜用プラズマCVD装置「MAPLE-300」
初号機をセイコーエプソン千歳工場へ納入


 三菱重工業は、TFT液晶絶縁膜成膜用プラズマCVD※1 装置「MAPLE-300」の初号機をセイコーエプソンから受注し、22日に竣工した300mm石英ウエハー(通常はシリコンウエハー)対応の生産拠点である同社千歳工場に納入した。同工場で生産される大画面プロジェクションテレビ用の高温ポリシリコンTFT液晶※2に組み込まれる半導体デバイスの絶縁膜形成に使用される。当社は今回の納入を機に、同社の液晶プロジェクター事業の基盤となるTFT液晶パネル生産の立ち上げから量産体制確立まで積極的に協力していく。

高密度プラズマCVD装置
「MAPLE-300」
(セイコーエプソン向け)
 当社は昨年11月に200mmウエハー対応の高密度プラズマCVD装置「MAPLE-200」を初めて受注し、半導体製造装置の本格販売を開始したが、今回の「MAPLE-300」はこれに続く300mmウエハー対応の製品。真空容器内で高い電子密度のプラズマの働きによりウエハー基板上に絶縁膜を堆積させることで成膜する。当社の原子力部門が核融合開発で培った高度なプラズマ技術、真空技術を駆使して開発した。非常にシンプルな装置構造としたことにより、容易なメンテナンスの実現とともに、運転時の低パーティクル性能※3、低クリーニング頻度※4を可能にし、オペレーターの作業負担を大きく軽減している。

 「MAPLE」シリーズによる成膜の最大の特長は、ウエハーに対して低ダメージ、低温、低水素の画期的な成膜プロセス(特許申請済み)を実現したこと。また、真空容器内の高密度プラズマ領域とウエハー間の距離の自在な設定により、プラズマダメージが極めて少ない成膜も実現した。
 さらに、プラズマCVD装置を用いた高温ポリシリコンTFT向け絶縁膜形成の課題であったトランジスタ特性の劣化を世界で初めて大幅に抑制し、これが高く評価されたことが今回受注の決め手の一つとなった。

 納入先のセイコーエプソンは、世界最高レベルの液晶プロジェクション技術を有するが、この技術は現在広く普及している直視型液晶方式やプラズマ方式に比べて大画面化が容易で、低コスト、低消費電力などのメリットがあり、この技術を利用した大型テレビの需要が米国、中国などで急速に拡大している。

 国内半導体メーカーは現在、より付加価値の高い次世代型の半導体製品に注力することで再び活況を呈しつつあるが、そのなかで当社の「MAPLE」シリーズは、顧客のニーズに応える絶縁膜形成装置として高い評価を受けており、現在も各メーカーからのデモ評価要請が相次いでいる。当社は顧客とともに個別の問題解決を図りながら受注をめざすという新しい形の事業開拓に挑戦しており、多様な応用展開も視野に積極的な拡販を図っていく。

※1   プラズマCVD=
Plasma Chemical Vapor Deposition プラズマによる化学蒸着薄膜成膜法
※2   高温ポリシリコンTFT液晶(TFT=Thin Film Transistor)=
パネルを構成するガラス基板の上にシリコンのフィルム(薄膜)が貼ってあり、そのフィルムに極小の薄膜トランジスタ(TFT)が取り付けられ、画素毎の駆動ができるようになっている液晶。
※3   低パーティクル性能=
パーティクルとは、真空容器内での成膜の過程でウェハー表面に付着する微細な粒子状の異物。MAPLEは真空容器内の温度変化の抑制により、この数を抑えることに成功している。
※4   低クリーニング頻度=
ウェハーへの成膜の過程で、真空容器内表面にも絶縁膜が堆積するため、定期的にこれを除去(クリーニング)する必要があるが、MAPLEでは他社製に比べて大幅に少ない累積膜厚9μm毎のクリーニングで運用可能となっている。

担 当 窓 口
原子力事業本部 原子力部
製作事業所 神戸造船所


以  上