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三菱重工ニュース
2004年4月1日 発行 第 4224 号

平成16年度の入社式
佃 社長 新入社員425人に期待を語る
 三菱重工業は、1日午前9時30分から東京・丸の内の東商ホールにて平成16年度の入社式を行った。今年度の新入社員425人が、佃 和夫社長の話に、熱心に聞き入っていた。
 佃 社長は、これから当社の一員として社会人生活をスタートさせる新入社員に対し、当社のトップ、また社会人の一先輩として、当社の社是をもとに、社員としての心構えと自らの経験を踏まえた激励のことばを次のとおり贈り、今後の活躍に期待した。


【社員としての心構え】

「顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する」
 現在は社会やお客様のニーズが急激に変化し続ける時代。「お客さまの視点に立った製品づくり」こそが、この激動の時代を生き抜くために重要。
「誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする」
 近年、数多くの企業不祥事が報道されているが、信用の喪失は企業の存続を危うくしかねない。社員一人ひとりが社会のルールを守り、フェアプレーの精神を貫くこと。
「世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める」
 当社の競争力維持のためには、グローバルな視点と、世界の流れ、社会の動きに対する洞察、さらに新製品・新事業を伸ばして新しいマーケットを創出することが不可欠。

【激励のことば】

「過去の前例や習慣にとらわれず、果敢に行動してほしい」
Activeに自分の考えを説明し、行動すれば、まわりの人は若い諸君をどんどん助けてくれる。当社では前向きの失敗についてはリカバリーが可能。何ごとにも積極果敢にチャレンジしてほしい。
「創造的なアイデアを生み出すため、日々の地道な勉強を積み重ねてほしい」
 世界的な競争に勝ち抜くため、日々好奇心を持って疑問に対峙し、研鑚に努め、分析力、洞察力を高め、次々と新しいアイデアを産み出してほしい。
「人間関係を大切にし、良き友人を持て」
 組織が有効に動くにはチームワーク、すなわち人間関係が大切。一人で悩むことも大切だが、悩んだときには、周りの人に気軽に相談してほしい。

 佃 社長の話に続いて、永田育郎常務取締役が「当社の概要」、昼食をはさんで柘植綾夫常務取締役が「当社の技術」についてそれぞれ講話し、午後1時30分に終了の予定。その後、新入社員はそれぞれの配属先に赴任する。

 なお、佃 社長挨拶の全文は以下のとおり。


平成16年度入社式 社長挨拶
取締役社長 佃 和夫

  皆さん、三菱重工業への入社、誠におめでとうございます。
 本日ここに、学校を卒業したばかりの、若く元気に溢れた皆さんを新しい仲間として迎えることができ、非常に嬉しく思っております。
 皆さんは新しい社会人としてのスタートにあたり、それぞれ抱負や希望を持って入社してこられたことと思いますが、三菱重工業としても、将来を担う貴重な人材である皆さんの活躍を大いに期待しています。

 さて、三菱重工業の歴史をたどりますと、最も古くは安政4年、即ち1857年の徳川幕府による長崎鎔鉄所建設に溯るわけですが、三菱の創業者である岩崎彌太郎氏が、政府所有の長崎造船局を借り受け、これを長崎造船所と命名し、本格的に造船事業を開始した明治17年(1884年)7月7日を、当社の創立日としております。
以来、今年で120年になりますが、当社はこの長い歴史を通じて、産業界のリーディングカンパニーとしての高い評価を得てきております。
 これは、長年にわたって先輩が築き上げてきた遺産を、後輩がしっかりと受け継ぎ、その時々の社会が要求する最高の製品を、お客さまに提供しつづけてきたことによるものです。
 その結果、現在では、カーエアコンのような生活に身近なものから、プラントや産業機器、深海探査船、宇宙機器まで、700種類以上の製品を有する、世界に類のない総合機械メーカーに成長いたしました。しかも、これらの製品は、いずれも我が国をはじめ、世界各国の産業・経済の根幹を担う製品ばかりであり、当社に課せられている社会的責任は、きわめて大きいものがあります。
 製造業の基本的な使命は、お客さまのニーズを的確につかみ、お客さまにとって魅力ある製品やサービスを、すばやく提供していくことにあります。
 皆さんも、今日から三菱重工業の一員として、一日も早く社業の担い手に成長されるように、新たな決意と意欲を持って努力していただきたいと思います。

 当社の経営は、つねにこのような立場を認識しながら行われておりますが、この根本には、創業の時から引き継がれてきた、経営の基本理念があります。
 この基本理念を示したものが『社是』であり、三菱重工業のあるべき姿、目指すべき方向を示す行動指針であります。
 皆さんの入社にあたり、この『社是』と、それに基づく当社の現状の考え方について申し上げたいと思います。

 その第一は、「顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する」ということです。
 当社は100年余りの歴史を通じて、高い技術力を背景に、他社に先んずる性能、信頼性、価格を織り込んだ製品やサービスで、お客さまの信頼を勝ち得てきました。それが、当社に対する社会の評価であり、同時に私たち全員の誇りでもあります。
 しかし現在は、社会やお客様のニーズが急激に変化しつづける時代です。
 私たちのつくる製品が「お客さまの視点」に立った場合、ニーズに合ったものなのか、高い付加価値を認めてもらえるものなのか、その点について、つねに虚心に考えてみる必要があります。
 モノづくりに徹することに加え、お客さまの視点に立って技術力を統合する、組織力をさらに生かす、といった努力を重ねていくことで、三菱重工業の技術力がより広い分野で生かされることになります。
 「お客さまの視点に立った製品づくり」こそが、当社がこの激動の時代を生き抜いていくための重要な課題であります。

 第二は、「誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする」ということです。
 これは、三菱重工業の社員としての、基本的な心構えを示したものであります。
 近年、企業での不祥事が数多く報道される中で、この心構えを各人が益々重視することが求められています。社会における信用は、企業存続の基本であり、信用の喪失は企業の存続を危うくしかねません。
 当社としても、企業としての透明性を高め、事業におけるあらゆるリスクを想定して備えるべく、リスク管理の強化と、コンプライアンス、即ち法令遵守の徹底を図っておりますが、企業倫理の問題については、社員一人ひとりの心構えが重要であることは言うまでもありません。
 この第二項が言わんとしているのは、フェアプレーの精神です。ことを処するにあたっては、社会のルールを守り、公明正大に行う姿勢を、つねに心に留めて頂きたいと思います。

 第三は、「世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める」ということです。
将来にわたって、当社の競争力を維持するためには、グローバルな視点を持ち、世界の流れ、社会の動きを洞察し、さらに新製品・新事業を伸ばして新しいマーケットを創出していくことが不可欠です。
 たとえば、最近の製品として、健康管理やセキュリティのパートナーである、家庭用ロボットの「wakamaru」があります。
 「wakamaru」は、原子炉内作業のために開発されたロボットや、産業用ロボットなどの技術を、高齢化社会のニーズに転用したものですが、個別の事業で培った技術力を統合させることで、このような新しい製品を生み出すことができたわけです。
 また、エネルギー関係では、当社は風力、火力、原子力、そして太陽電池から燃料電池まで、あらゆる分野に携わっています。
 将来のエネルギー問題を考える場合に、あらゆるものをやっているからこそ、全体のバランスを考え、全体最適を見いだすことが可能となります。
 このような当社のノウハウと技術を社会に発信することが、今後の“技術立国日本のあり方”をめぐる議論に役立っていくものと、確信しています。

 先ほども申し上げましたが、この『社是』は、三菱創業の精神であるとともに、三菱発展の歴史的事実に裏づけされた、企業文化そのものです。
 皆さんも、つねにこの精神に則ってことにあたり、行動するように心掛けて頂きたいと思います。

 当社を取り巻く経営環境は、昨年3月に勃発したイラク戦争や、中国や東南アジアを混乱に陥れたSARS騒動などによる、世界的な市場回復の遅れ、そして円高の進行などにより、大変厳しくなっております。
 しかしながら、私は、当社の社員の仕事に対する情熱と能力、そして長年にわたって培われた技術の蓄積には、絶対的な自信を持っています。
 このような時期にこそ、ここにいる若い皆さんを新たに迎え、全員が一丸となって、将来を明るく見据え、チャレンジしていけば、必ずや三菱重工業を、21世紀に力強く発展する企業にすることができると期待しています。

 次に、社会人としての第一歩を踏み出される皆さんに、一先輩として私の経験から、三つの心掛けを申し上げておきたいと思います。

 第一は、「過去の前例や習慣にとらわれることなく、万一の場合の向こう傷を恐れることなく、熟慮し、決心し、そして果敢に行動してほしい」ということです。
 今までの学生時代は、学校で、黙っていても自動的に教えてもらえるという面が強く、「与えられたことを消化していく」ことが中心だったと思います。
 しかし、会社生活では、自分からActiveに動かない限り、何も与えられません。
 逆に、Activeに皆さん自身の考えを説明し、行動すれば、まわりの人は、若い諸君をどんどん助けてくれます。教えてくれます。協力してくれます。
 そして、諸君は「何ごともやっていけばやれるのだ」という自信を、身に付けていくことになります。
 若い人が可能性を追求するのは、すばらしいことです。是非、何ごとにも積極果敢にチャレンジしてみて下さい。

 皆さんが失敗したとしても、三菱重工業では前向きの失敗については、リカバリーが可能です。無鉄砲は困りますが、思いきったことをやって頂きたいと思います。

 第二は、「創造的なアイデアを生み出すために、日々の地道な勉強を積み重ねてほしい」ということです。
 現在、私たち製造業を取り巻く状況は、性能、コスト、品質、サービス等、あらゆる面で厳しい競争にさらされており、世界の中でこの競争に勝ち抜いていくためには、製品にも、仕事にも、つねに新しいアイデアを取り入れることが不可欠ですが、アイデアは、漠然と生まれてくるものではありません。
 昔から、「発明は、1%のinspirationと、99%のperspirationから生まれる」と言われています。99%は汗だという訳ですね。
 日々好奇心を持って、何事にも「何でかな?」と疑問をもって対峙し、研鑚に努め、分析力、洞察力、そして創造力を高めて、次々と、新しいアイデアを産み出して頂きたいと思います。
 若い皆さんの新鮮な創造力と力強い実行力が、21世紀の三菱重工業を作り上げていくと言っても、過言ではありません。
 社会の発展に貢献することへの誇りを胸に抱き、皆さんが新しい技術、新しい事業、新しいマーケットへ挑戦されることを期待しています。

 第三は、「人間関係を大切にし、良き友人を持て」ということです。
 三菱重工業は、世界を相手に数多くの大きな仕事をしており、それぞれの仕事は役割分担を決めた組織によって運営されています。
 組織を構成するのは、人であり、動かすのも人です。組織が有効に動くには、チームワークが大切であることは言うまでもありません。
 皆さんは、これから様々な人たちと、一緒に仕事をすることになりますが、これらの人たちとのチームワーク、即ち人間関係を大切にして頂きたいと思います。
 組織ですから、上下関係も当然ありますし、それ故に、悩むこともあるかもしれませんが、自分から心を開いて、周りの人にあたってみて下さい。一人で悩むことも大切ですが、相談することも大切です。何かあれば、気軽に上司に相談して頂きたいと思います。

 また、良き友人は、皆さんを支え、良き相談相手となって、様々なアドバイスを与えてくれます。
 良き先輩は、皆さんの良き目標となり、皆さんを大きく成長させてくれます。
 仕事の先輩、パートナー、そして同期入社の仲間は、これから付き合いの始まる新しい友人です。学生時代からの友人とともに、大切にして頂きたいと思います。
 そして、良き友人は会社生活ではもちろん、これからの長い人生を送る上で、大きな財産になるということを、心に留めて下さい。

 以上、色々と申し上げましたが、最後に、健康にはくれぐれも留意して頂きたいと思います。
 健康は皆さんの生活の基盤です。どんなに優れた人も、健康なくしてはその力を発揮できません。
 これまでとは異なる生活環境に入るわけですから、健康管理には十分留意し、決して焦ることなく、充実した生活を過ごして頂くよう期待いたしまして、私の歓迎の言葉とさせて頂きます




以  上