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三菱重工ニュース
2003年11月21日発行 第4177号

わが国初 電気分解で し尿の窒素を除去
「電解脱窒素システム」を開発 販売へ


 三菱重工業は、窒素除去機能の高効率化と安定化を図った全く新しい し尿処理システム「電解脱窒素システム」の開発に成功した。既存の生物処理を主体とした し尿処理システムに、電気分解によって窒素を分解、除去する「電解脱窒素装置」を組み込むもので、窒素除去機能が向上・安定化することが最大の特長。

電解脱窒素装置

 このシステムは三洋電機と共同で開発したもので、電気分解で窒素を除去する し尿処理システムの開発はこれがわが国初めて。12月から本格的な受注活動に入る。

 開発した「電解脱窒素システム」は、し尿の性状および既設の し尿処理方式に応じて、様々な処理プロセスの提案ができる。処理量が多いところでは設置基数を増やすことで簡単に対応可能で、しかも電気分解の際、電圧の調節によって処理量や処理負荷をフレキシブルに変えられるのも特長の一つ。

 これは、第5次水質総量規制※1により法律的に強化された窒素総量規制への対応と、昨今の全国的な し尿性状の変動※2によって困難になった運転管理を解決するため開発したもの。第5次水質総量規制の指定水域※3での し尿処理後の排水時に含まれる窒素量1リットル当たり1日平均60mg以下を容易に達成でき、窒素除去性能は生物処理の20倍以上※4になる。

 このシステムに組み込まれる「電解脱窒素装置」は電源部、電解槽、冷却装置、塩水タンクなどで構成され、装置本体は1ユニット当たり幅2700×奥行き1770×高さ2005mmとコンパクト。バッチ式で、1回当たりの処理量は0.35m3

 新たに建設する設備に適用できるだけでなく、すでに設置している生物処理設備も併用できるので大がかりな工事が不要となり、また工事も短期間で済むという施工上のメリットも兼ね備えている。

 既存の し尿処理システムは「前処理設備」(異物除去、固液分離等を行う)、「生物処理設備」(微生物を用いてBOD※5、窒素などを除去する)、「高度処理設備」(膜、活性炭によりCOD※6、リン、色度などを除去する)の大きく三つの設備で構成されているが、「電解脱窒素システム」は前処理設備と生物処理設備、あるいは生物処理設備と高度処理設備の間に設置する。

 し尿は、地方自治体が し尿処理装置を設置して処理するケースが一般的で、国内には1000以上の施設がある。しかし、元来窒素除去を対象としていない施設はもちろん、窒素を除去対象としていても浄化槽汚泥量の増加など計画時からの性状変動により、水質管理に苦慮している施設が増えている。

 当社はこうした施設を管理・運営する地方自治体に向けて営業活動を強化、15年度初号機の受注を目指す。



※1.
第5次水質総量規制= 規制対象として従来のCODに加え新たに窒素・リンを追加し、廃水中のその総量を規制するもの。排出の濃度ではなく総量そのものを規制するため希釈などによる対応が不可であり、より厳しい規制となっている。
規制値は国の定める算出基準(水質汚濁防止法施行規則第一条)に基づき各地の汚染状況を考慮した上で各都道府県が業種ごとに設定しており、16年度を目標年度としている。
※2.
し尿性状の変動= 近年合併浄化槽の普及、新型マンションへのディスポーザーの設置等により し尿処理施設への浄化槽汚泥混入率が増加している。浄化槽汚泥は前処理にてBOD・CODは分離されるが、窒素は液体側へ残留し、廃水中の窒素量が従来より増加する。
※3.
水質総量規制の指定水域= 東京湾・伊勢湾・瀬戸内海の海域およびそれらへの河川を通じて廃水が流入する周辺の地域。
※4.
20倍以上= 処理性能数値は、適用システムにより多少異なる。
※5.
BOD= Biochemical Oxygen Demandの略。河川の水質の汚染度合いを表す指標で、好気性バクテリアが水中の有機物を酸化分解するのに要する酸素量。
生物化学的酸素要求量。
※6.
COD= Chemical Oxygen Demandの略。海や湖沼の汚染度合いを表す指標。
化学的酸素要求量。

 
営業窓口 機械事業本部 環境ソリューション部
製作事業所 横浜製作所


以  上