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三菱重工ニュース
2003年11月14日発行 第4176号

わが国初 PETボトル用DLCコーティング装置を開発・受注
PETボトル詰め用途が拡大


 三菱重工業は、PETボトルの内面に緻密な炭素膜を蒸着させることにより、内容物の品質の劣化を防ぐDLC(Diamond Like Carbon) ※1コーティング装置の高速ロータリー式商業機の開発に成功し、初号機を(株)吉野工業所(所在地:東京都江東区大島3-2-6、社長:吉野 祥一郎 氏)から受注、来年6月に納入する。

 今回開発に成功した装置は、0.3L~1.5LのPETボトルに対応、処理能力は1時間当たり1万8000本~1万2000本。電極チャンバー中で真空状態にしたPETボトルの内部に炭素と水素からなるアセチレンガスを流し、RFプラズマ※2を発生することでDLCを成膜するシステム。

 PETボトルは利便性、コスト面から飲料・食品容器として急速に普及し、現在総容器に占める割合が50%以上に達している。その反面、スチール缶・アルミ缶やガラス壜と比較するとガスバリア性が低く、酸素の侵入・炭酸ガスの損失による内容物の品質に影響を受けやすい欠点をもっている。
 DLC膜によりコーティングされたボトルは、通常のPETボトルに比べ酸素、炭酸ガスに対するガスバリア性が10倍以上となり、品質の劣化を防ぎ、従来より長期間の保存が可能。
 また、DLC膜の安全性は既にFDA(米国連邦食品医薬品局)の認可を平成14年1月に取得、膜成分の製品への影響に問題ないことを確認し、ボトルのリサイクル性についても高い評価を得ている。

 この装置の実用化により、炭酸飲料、茶系飲料等の清涼飲料、ビール、ワイン、焼酎等のアルコール飲料など、酸素・炭酸ガスの高バリア性を必要とする内容物のPETボトル詰め用途が広がることになる。

 現在、アルコール飲料・炭酸飲料を中心にPETボトルに置き換わる可能性のある製品は世界で年間5000億本以上と言われ、装置市場としても極めて大規模となる。さらに、飲料製品に限らず、各種調味料用容器、医療用容器、化粧品等、非飲料業界への応用も可能であり、用途の拡大が期待される。
 DLC技術は1995年にキリンビール(株)によって開発されたコーティング技術であり、三菱商事プラスチック(株)と当社の3社により、将来のPETボトルの用途拡大を想定し、世界に類の無い高速タイプの商業機開発に取り組んできたものである。

 また、DLCコーティングはその成膜方法から大型PETボトルの成膜に有利であるという特長を持ち、小型PETから大型PETまで対応できる装置をシリーズ化し、今後、海外・国内のアルコール・清涼飲料用PET容器をターゲットに、2004年度で30億円の受注を見込んでいる。


※1. DLC(Diamond Like Carbon)
=ダイヤモンドと似た物性を持つ水素を含むアモルファスな炭素
   
※2. RFプラズマ=RF(Radio Frequency:ラジオ波の波長を持つ高周波)
電力をガスに印加することにより放電した状態。ガスがイオンと電子に分かれ、反応性に富んでおり、材料合成等に利用される。

 
担当窓口 産業機器事業部


以  上