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三菱重工ニュース
2003年4月1日発行 第4108号


平成15年度の入社式
西岡社長 新入社員488人に期待を語る


 三菱重工業は、1日午前9時30分から東京・丸の内の東商ホールにて平成15年度の入社式を行った。今年度の新入社員488人が、西岡 喬社長の話(内容は以下のとおり)に、熱心に聞き入っていた。

 続いて紺道樹義常務取締役が「当社の概要」を、昼食をはさんで柘植綾夫常務取締役が「当社の技術」をそれぞれ説明、入社式は午後1時30分終了予定。その後、新入社員はそれぞれの配属先に赴任する。



平成15年度入社式 社長挨拶
取締役社長 西岡 喬

 皆さん、三菱重工業への入社、誠におめでとうございます。
本日ここに、学校を卒業したばかりの、若く元気に溢れた皆さんを新しい仲間として迎えることができ、非常に嬉しく思っております。
 皆さんは、新しい社会人としてのスタートにあたり、それぞれ抱負や希望を持って入社してこられたことと思いますが、三菱重工業としても将来を担う貴重な人材である皆さんの活躍を大いに期待しています。

 さて、三菱重工業の歴史をたどりますと、最も古くは、徳川幕府による安政4年(1857年)の長崎鎔鉄所建設に溯るわけですが、三菱の創業者である岩崎彌太郎氏が、政府所有の長崎造船局を借り受け、これを長崎造船所と命名し、本格的に造船事業を開始した明治17年7月7日を、当社の創立日としております。
 以来、今年で119年になりますが、当社はこの長い歴史を通じて、産業界のリーディングカンパニーとしての高い評価を得てきております。これは長年にわたって、先輩が築き上げてきた遺産を、後輩がしっかりと受け継ぎ、その時々の社会が要求する最高の製品を、お客さまに提供し続けてきたことによるものです。その結果、現在では、船舶、鉄構、原動機、プラント、環境装置、産業用機械、航空・宇宙機器、エアコンなど700種類以上の製品を有する、世界に類のない総合機械メーカーに成長いたしました。

 しかもこれらの製品は、いずれも我が国をはじめ、世界各国の産業・経済の根幹を担う製品ばかりであり、当社に課せられている社会的責任は、極めて大きいものがあります。
製造業の基本的な使命は、お客様のニーズを的確に汲み取り、お客様にとって魅力ある製品やサービスを、すばやく提供していくことにあります。皆さんも今日から三菱重工業の一員として、一日も早く社業の担い手として成長されるように、新たな決意と意欲を持って努力していただきたいと思います。

 当社の経営は、常にこのような立場を認識しながら行われておりますが、この根本には、創業の時から引き継がれてきた、経営の基本理念があります。この基本理念を示したものが『社是』であり、三菱重工業のあるべき姿、目指すべき方向を示す行動指針であります。
皆さんの入社にあたり、まずこの『社是』と、それに基づく当社の現状の考え方について申し上げたいと思います。

 その第一は、「顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する」ということです。
 当社は100年余りの歴史を通じて、高い技術力を背景に、常に他社に先んずる品質、性能、価格、納期を織り込んだ製品とサービスで、お客様の信頼を勝ち得てきました。それが、三菱重工業に対する社会の評価であり、同時に私たち全員の誇りでもあります。
 市場が右肩上がりで拡大する時代が終焉し、サバイバル競争の時代に突入した今、お客様にとって魅力ある製品とサービスを、世界的視野に立って提供すること、即ち「お客様指向」こそが、当社がこの激動の時代を生き抜いていくための重要な課題であります。このため、昨年来、Customer Satisfaction=CS活動に全社を挙げて取り組んでおります。

 第二は、「誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする」ということです。
これは、三菱重工業の社員としての、基本的な心構えを示したものであります。近年、企業での不祥事が数多く報道される中で、この心構えを各人が益々重視することが求められています。社会における信用は企業存続の基本であり、信用の喪失は企業の存続を危うくしかねません。当社としても、企業としての透明性を高め、事業におけるあらゆるリスクを想定して備えるべく、リスク管理の強化と、コンプライアンス=法令遵守の徹底を図っておりますが、企業倫理の問題については、社員一人ひとりの心構えが重要であることは言うまでもありません。この社是第二項が言わんとしているのが、すなわちフェアプレーの精神です。事を処するにあたっては、社会のルールを守り公明正大に行う姿勢を、常に心に留めて頂きたいと思います。
 第三は、「世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める」ということであります。
このグローバル化が進んでいく時代において、世界の流れ、社会の動きを洞察し、さらに経営の革新と技術の開発に努めることが重視されています。当社では、当社の強みである技術力を、より確かなものとするため、一昨年から「製品力向上プロジェクト」を展開中です。具体的には開発や受注の初期段階から、設計、工作、営業、資材など全ての部門が一緒になって取り組むコンカレントエンジニアリング、事前にしっかり技術検証を行うフロントローディングを柱に、仕事の進め方を見直す活動を展開しておりますが、これらの効果が徐々に出始め、お客様のニーズにマッチし、かつ完成度の高い新製品を市場に出すことができました。

 先程も申し上げましたが、この社是は三菱創業の精神であるとともに、三菱発展の歴史的事実に裏づけされた企業文化そのものです。皆さんも常にこの精神に則って事にあたり、行動するように心掛けていただきたいと思います。

 次に、現在当社がおかれている状況について、少しお話したいと思います。
 先日も、H-IIAロケットの打ち上げに連続して成功したほか、米国向け新交通システムや、中国向けガスタービンを新規に受注するなど、長年にわたる技術の蓄積により、成果を挙げることができました。
 しかし、当社を取り巻く環境は、米国経済の失速や、国内外の景気低迷が続く中で、非常に厳しい競争を強いられ、このため当社の近年の受注は、低水準にとどまっています。
 さらに、米英軍のイラク侵攻により、世界経済の先行きは、今後益々不透明さを増してきております。
 一方、昨年秋の客船火災など、「モノづくり」に対する信頼を揺るがすような事故を発生させ、皆さんにも心配をおかけしましたが、この経験を真摯に受け止め、確たる技術と誠心誠意のモノづくりで、社会の信頼を回復し、確実なものとしていく必要があり、まさしく当社が製造業として生き抜いていくための正念場と考えております。

 しかしながら、私は、当社の社員の仕事に対する情熱と能力、そして長年にわたって培われた技術の蓄積には、絶対的な自信を持っています。このような時期にこそ、ここにいる若い皆さんを新たに迎え、全員が一丸となって、将来を明るく見据え、チャレンジしていけば、必ずや三菱重工業を21世紀に力強く発展する企業にすることができると確信しております。

 次に、社会人としての第一歩を踏み出される皆さんに、一先輩として私の経験から、三つの心掛けを申し上げておきたいと思います。
 第一は、「失敗に臆することなく、何ごとにも前向きにチャレンジして欲しい」ということです。
 今までの学生時代は、学校で教えられるという面が強く「与えられたことをやる」ことが中心だったと思います。しかし、会社生活では、「自分からどんどん新しいことをやっていく」ことによって「何ごとでもやっていけばやれるんだ」という自信が身についていくことになります。従って、是非何ごとにも積極果敢にチャレンジしていくという姿勢を持ち続けてもらいたいと思います。
 皆さんが若いうちに失敗したとしても、三菱重工業では前向きの失敗については、リカバ リーが可能です。無鉄砲は困るが、思いきったことをやってもらいたいと思います。
 それから、「2つの選択肢があったら難しい方を選ぶ」ということを心掛けてください。皆さんはこれから色々な場面で選択を迫られることになりますが、特に若いうちは易しい方を選ばず、困難な途を行く、これがチャレンジ精神だと私は考えています。

 第二は、「新しいアイデアを生み出そうという気概を持て」ということです。
現在、私たち製造業を取り囲む状況は、性能、コスト、品質、サービス等あらゆる面で厳しくなっており、世界の中でこの競争に勝ち抜いていくためには、製品にも、仕事にも、常に新しいアイデアを取り入れることが必要です。従って、常に好奇心と深い洞察力を持って、新しいアイデアを早く、次々と産み出し続けて欲しいと思います。
 これからは、若いあなた方の新鮮な創造力、すなわちアイデアと、力強い実行力が、21世紀の三菱重工業を作り上げていくと言っても、過言ではないと思います。
 皆さんの新しい技術、新しい事業、新しい市場への積極果敢な挑戦を期待しております。

 第三は、「人間関係を大切にし、良き友人を持て」ということです。
三菱重工業は、世界を相手に数多くの大きな仕事をしており、それぞれの仕事は役割分担を決めた組織によって運営されています。組織を構成するのは人であり、動かすのも人です。組織が有効に動くにはチームワークが大切であることは言うまでもありません。皆さんは、これから様々な人たちと一緒に仕事をすることになりますが、これらの人たちとのチームワーク、すなわち人間関係を大切にしていただきたいと思います。
 組織ですから、上下関係も当然ありますし、それゆえに悩むこともあるかもしれませんが、自分から心を開いて上司、周りの人にあたっていただきたいと思います。一人で悩むことも大切ですが、相談することも大切です。気軽に上司に相談してください。
 また、良き友人は、時に皆さんを支えてくれ、良き相談相手となって、様々なアドバイスを与えてくれます。良き先輩は皆さんの良き目標となり、皆さんを大きく成長させてくれます。仕事の先輩、パートナー、そして同期入社の仲間は、これから付き合いの始まる新しい友人ですので、学生時代からの友人とともに大切にしていただきたいと思います。そして良き友人は会社生活ではもちろん、これからの長い人生を送る上での大きな財産になるということを、心に留めてもらいたいのです。

 以上色々と申し上げましたが、最後に、健康にはくれぐれも留意していただきたいと思います。健康は皆さんの生活の基盤です。どんなに優れた人も、健康なくしてはその力を発揮できません。これまでとは異なる生活環境に入るわけですから、健康管理には十分留意して、決してあせることなく、充実した生活を過ごしていただくよう期待いたしまして、私の歓迎の言葉とさせていただきます。




担当窓口 人 事 部


以  上