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三菱重工ニュース
2003年1月8日発行 第4082号

三菱重工業 家庭用燃料電池出荷開始
実用性評価試験用 実用化を加速


 三菱重工業は、家庭用燃料電池実証機の開発を完了し、各所の実用性評価試験に向けてサンプル出荷を開始した。

三菱重工 家庭用燃料電池(外観)

 サンプル出荷する燃料電池は都市ガスを燃料とするPEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell=固体高分子形燃料電池)で、出力1kWのもの。今年度2台サンプル出荷の後、さらに高機能化したサンプル機を来年度は10台程度各方面にサンプル出荷し、実用性評価を受ける予定。

 当社は、家庭用燃料電池実用化への大きな課題となっていたDSS(Daily Start-up & Shut-down)※1運用を確立したほか、低負荷運転でも効率が低下しない「広域負荷対応」、機器停止時にシステム内に残留する燃料ガスを排出するのに従来使われていた窒素を不要とする「N2レスパージ」※2などの新技術を開発してきた。これら新技術確立のためには、使用する燃料から水素を取り出す「改質」の高効率化と改質の過程で用いる触媒の劣化防止技術が必要であった。
 今回納入するシステムに組み込んだ改質器は、東京ガス株式会社殿の改質器技術(一体構造によるコンパクト化技術、広域負荷高効率維持技術など)を基に当社で開発したもので、改質器構造の最適化・改質器内熱制御の適正化や触媒劣化メカニズムの解明を通じて高効率改質と触媒劣化防止を実現した。特にN2レスDSS運用に際して最大のネックであった改質器内の触媒劣化については、加速試験を通じて2年以上全く触媒の劣化がなく運転できることを確認した。

 また、システム本体には2次元集積配管(当社独自技術M-iPIS※3)を適用してコンパクト化を達成すると共に、世界最高効率(直交変換効率92%)のパワーコンディショナー※4を搭載しており、ランニングコストやメンテナンスコストを削減した使いやすくユーザメリットの大きなシステムを構築する目途を得た。

 今回、サンプル機を実用性評価試験に供試することにより、安全性・信頼性・実運用性について優位性を実証し、商品化への大きな一歩を踏み出すことを狙う。


※1. DSS(Daily Start-up & Shut-down)=日々起動/停止すること。家庭用発電システムで光熱費メリットを大きくするためには、深夜など電気消費量の少ない時間帯は運転せず、電気消費量の多い時間帯に運転する運用が有効である。そのため、起動/停止を含む運用パターンに柔軟に対応できることが望ましい。なお、一般的に光熱費メリットが大きくなるのは「昼間は運転し深夜には運転を停止するDSSパターン」。
※2. N2レスパージ=運転を停止する際には安全上の理由及び触媒劣化防止の観点から燃料ガスを改質器外へ排出(「パージ」という)しなければならない。このパージには一般的に窒素ガスを用いるが、1回のパージあたり数十リットルの窒素を要すため、窒素によるパージを実現するためには、窒素ボンベ設置とボンベへの頻繁な窒素充填が必要となる。これは燃料電池のコンパクト化とランニングコスト低減の面で大きなデメリットであったが、窒素を使わないパージ方法を開発したことで窒素ボンベ設置を不要にし、ユーザメリットの大きなシステムを実現できる。
※3. M-iPIS(ミピス:Mitsubishi integrated Piping & Instrument System)=当社三原機械・交通システム工場にて開発した2次元集積配管。従来、3次元的に配置する機器間配管をプレート形状化することにより機器コンパクト化・軽量化を実現できる。
※4. パワーコンディショナー=低電圧直流の燃料電池出力を商用交流200/100Vに連系するために用いる系統連系インバータ。



担当窓口 技術本部広島研究所、広島製作所、汎用機・特車事業本部


以  上