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三菱重工ニュース
2002年12月13日発行 第4072号

次々世代 超LSI用電極 配線に道
世界初 塩素プラズマだけで金属膜実現



 三菱重工業は、塩素ガスと固体金属を原料とするこれまでにない画期的な金属成膜技術(MCR-CVD※1=塩化金属還元気相成長法)の開発に成功した。これまで水素ガスで行っていた塩素ガスの引き抜き工程が不要となる。もちろん世界初の開発で、基本技術46件を国内外に特許出願した。原理的には塩化物を作るものであればどのような金属にも適用できる技術で、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)のほかこれまでのCVD法では困難とされていたTa(タンタル)、Ir(イリジウム)といった金属の成膜に成功している。集積度が現在の4倍となる次々世代の超LSI製造用として、近く実用装置の開発に着手する。

 金属成膜は(1
)原料となる金属板を塩素プラズマでエッチングして揮発性の塩化金属を生成する過程と、(2)その塩化金属を基板まで輸送して、塩素プラズマで塩化金属の塩素原子を引き抜く(還元)過程からなる(図1)。

 前段のエッチング過程は一般的によく知られているが、塩素プラズマによる塩素の引き抜きで金属を析出させた例はこれが初めて。実際にはエッチングから金属成膜の工程中に生成される塩素ラディカルの働きで塩素が取り除かれるもので、これがこの技術の最大のポイント。

 従来、金属膜は、金属板にイオンを衝突させて金属原子をたたき出し、それを対向する基板に堆積させて成膜するスパッタリング法と、金属錯体に代表される有機金属を気化させ、それを基板表面で熱的に分解して成膜するMO-CVD(有機金属気相成長法)とによって主に作製されていた。
 しかし、スパッタリング法は基板に飛来する金属粒子のエネルギーによる表面での損傷が大きいことと、超微細パターンへの均一な被覆性が得られないことに、またMO-CVDは原料が非常に高コストであることと、膜中に多量の炭素成分が入り込むことに問題があった。

 今回の技術は、原理的にこうした問題を解決するうえで適正が高く、低コストで、しかも成膜の過程で損傷が少ない低ダメージプロセスであることから、超LSI製造工程で必要となるさまざまな金属(図2)の成膜へ適用可能。

 当社は現在、配線工程において超LSI多層構造の配線層にCu(図3)を埋め込むことに取り組んでいるが、Cuの埋め込みの際、Cuが周囲の絶縁層に拡散することからホールの周囲にTaの膜をつくってCuの拡散を抑えるバリア層(図4)を形成しうるプロセスシステムを構築中である。

 当社は今年度中に8インチウェハ対応のデモ機を開発し、2003年度からデバイスメーカーへの提案を進める計画。さらに、デバイスメーカー向け研究開発用装置を2004年に、 量産用装置を2006年に提供することを目指している。


※1.MCR-CVD=Metal Chloride Reduction-Chemical Vapor Deposition


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図1 MCR-CVD原理図


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図2 LSI多層配線断面構造


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図3 Cu埋込断面
(0.15µmホール@A/R=6.7)
  図4 Ta被覆断面
(0.28µmホール@A/R=4.3)


担当窓口 技術本部 先進技術研究センター


以  上