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三菱重工ニュース
2002年10月10日発行 第4045号

さらなる高生産性、コストダウンを実現する
次世代スーパードライコーティング歯切工具を新発売
毎分250mの高速ホブ切りを実現 寿命は2倍


 スーパードライコーティング※1の開発によって歯切り機械に世界で初めてドライカットシステムを持込んだ三菱重工業は、これを上回る高速加工を実現する次世代ドライカットコーティングの開発に成功した。限界といわれたこれまでの切削速度200m/minを突破、250m/minの高速加工を実現、しかも摩耗が少なく、工具寿命を1.5~2倍に高めた画期的なコーティング技術。平成14年11月発売。


三菱重工ニュース

次世代スーパードライホブ

 この新コーティングの被膜の詳細は特許出願中。開発にあたって当社は、高速でのドライカットを実現するため、コーティング膜の耐酸化性の向上に力を入れた。その結果、基礎的な物性評価では、酸化開始温度が900℃から1,000℃である従来のスーパードライコーティングに対し、それ以上の1200℃でも酸化しないコーティング膜であることが証明された。

 一方、実際のホブ切り試験で、従来のスーパードライホブに比べ逃げ面摩耗※2、クレータ摩耗※3共に小さく、とくに切削中に最高温度にさらされるすくい面※4でのクレータ摩耗の小さいことが証明され、優れた特性をもつドライカット用コーティングであることが裏付けられた。

 この次世代スーパードライコ-ティングを施したホブは、従来200m/minが限界とされてきたハイス系※5ホブによる歯切り加工において250m/minの加工を可能とした。これにより超硬ホブの実用切削速度300m/minに大きく近づいたことになる。

 浸炭鋼SCM415※6によるホブ切り試験では切削速度250m/minで、従来スーパードライホブに比べ工具寿命は2倍であることが立証された。
 これまでの切削速度200m/minで比較しても、浸炭鋼SCr420の加工で1.5倍、高硬度ワークの代表である炭素鋼S55C※7のホブ切りでも切削速度130m/minの1.5倍の工具寿命を達成、高速加工と相まって大幅な生産性の向上とコスト低減をはかることができた。

 従来のドライカットシステムでクリティカルな切削速度であった200m/minでも、余裕のある安定的な歯切り加工ができ、工具寿命を延ばすことができる。

 超硬ホブ切りでは突然生ずるチッピング※8に悩まされているが、この次世代スーパードライコーティングを施したホブを使用するとこのような問題も起きず、安定した高速ホブ切りが可能。

 生産現場に対してはコストダウンを求める声が高まっている。一方、生産現場からは高速・高能率化、低コスト化要求が強くなっている。こうした声に応えるために開発したのが今回の次世代スーパードライコーティングである。

 この次世代スーパードライコーティングをホブに施した社内性能評価は、リコーティング(再コーティング)の検証まで完了。

※1. スーパードライコーティング=
ホブ切りを切削油無しで実現するために開発したコーティングで、商標登録済の名称。 従来ホブ切り時は冷却・潤滑・切屑除去等の目的で切削部分に大量の切削油をかけてやることが必要であったが、このコーティングを施行すれば切削油を一切必要とせず、かつ、従来よりも高速歯切りが出来、その際の工具寿命も延びるという画期的なコーティングである。特に環境負荷軽減の地球規模のニーズに合致した技術である。

※2. 逃げ面摩耗=
切削によって逃げ面(切削仕上げ面との不必要な接触を避けるために逃がした面)に生じる摩耗のこと。

※3. クレータ摩耗=
切削すると切屑が切刃の上面をこすって通過し、一種のくぼみ(クレータ)が生じる。その摩耗のこと。

※4. すくい面=切削工具の切刃面のこと、切屑はこの面を擦過する。

※5. ハイス系=
一般的にはHigh-speed Steel の略でハイスと言う。日本語では高速度工具鋼、通常の鉄で鉄を切削することは不可能、刃物側に高速度工具鋼という鉄を用いれば鉄を切削することができる。高速度工具鋼は熱処理を行うことにより、硬さを格段に上げることができ、この硬さの圧倒的な差があることで、鉄用の刃物として使用できる。

※6. 浸炭鋼=
鋼の表面に炭素を染み込ませることにより表面だけ硬くした鋼。
内部は柔軟で粘りがあり、摩耗に耐えるので衝撃や振動を受ける部分に用いられる。

※7. 炭素鋼=
炭素1.7%以下を含む鋼を炭素鋼という。ハイスに比較して表面硬さ、耐磨耗性に劣るが、粘りがあり、安価・切れ味が重視される場合に用いられる。

※8. チッピング=刃物の切れ刃の部分が刃こぼれを起こすこと。





担当窓口/製作事業所
工作機械事業部


以  上