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三菱重工ニュース
2002年3月12日発行 第3987号

遺伝子工学的手法によるメタン発酵微生物の迅速検出技術を開発
メタンガス転換率向上技術も


 汚泥や生ごみなど大量に発生する有機性廃棄物の再資源化ニーズが高まりつつあるのを受けて、三菱重工業は、有機汚泥の再資源化処理の有力な技術であるメタン発酵に関し、二つの技術開発に成功した。
 一つは遺伝子工学的手法を用いてメタン発酵微生物を迅速に検出する技術で、遺伝子を増やす反応を応用した検出技術の開発は、これがわが国初。もう一つが有機汚泥からのメタンガス転換率を向上させる技術。
 この二つの技術を併用することによって、わが国で課題となっている有機性廃棄物の再資源化処理は、大きく進展することになる。

1.メタン発酵微生物の迅速検出技術
   開発した技術は、メタン発酵汚泥から微生物のDNAを抽出し、検出したい微生物DNAの一部を選択的・確実、かつ高速に増やす反応に、希釈率から統計処理によりDNAの存在量を求める方法を組み合わせ、迅速に微生物の数を求めるもの。

 従来から、微生物のDNAの一部を増やすことによりその数を求める方法は実用化されているが、メタン発酵汚泥等の不純物の多い試料では、不純物がDNAを増やす効率に影響するため、正確な値が得られないという課題がある。

 そこで当社では、この課題に対し、色々な濃度にDNAを希釈後、DNAを増やし、希釈率ごとのDNA検出の有無を統計処理することでDNAの存在量を決定する方法を組み合わせることに着目、DNAを増やす効率に影響されずに微生物の数を求める方法を見出した。しかも、単に組み合わせただけでは5~8時間以上という長時間を要するDNAを増やす反応を大幅に短縮することに成功した。

 具体的には、まずDNAを増やす反応を従来の反応管でなく、温度変化が早くできる毛細管の中で行わせ、これによりDNAを増やすのに必要な時間を約30分と大幅に短縮した。また、プライマー(※)と呼ぶDNAの配列を、微生物ごとに独自に適正化することで、検出したい微生物のDNAの一部を選択的かつ、確実に増やすことも可能とした。

 これらの工夫によって、メタン発酵汚泥中に含まれる酸生成微生物やメタンガス化微生物等のDNAの一部のみを迅速、かつ確実に増やし、目的の微生物数を定量化する技術として実用レベルまで引き上げることに成功した。この新方式により、従来、培養法では2日~1ヶ月以上かかっていたのが、半日以内で迅速に検出できるようになった。

 この新しい技術を用いて当社は発酵槽内の微生物数の定量、メタンガス化活性測定・解析を行った結果、酢酸を利用するタイプのメタンガス化微生物の存在量と活性が発酵を安定化するうえで極めて重要であることが把握できた。また、キーとなる微生物を発酵槽内で増強する条件などを迅速に検討することが可能となった。

 当社としてはこの技術を今後、発酵槽の立ち上げ運転の迅速化や発酵過程で生じる酢酸等の有機酸の過剰蓄積による反応阻害防止などに活用していく考え。
   
2.メタンガス転換率向上技術
   一方、メタンガス転換率の向上技術は、メタン発酵を行う前に、汚泥にオゾンを加え、さらに加熱することにより微生物細胞に傷をつけて汚泥の分解を促進、メタンガスに転換しやすくするもの。これによりメタンガス発生量が従来に比べ約30%向上することが明らかとなった。
 
 普通、汚泥の主要成分である微生物細胞は硬い細胞壁で覆われているため分解が難しかった。したがって、汚泥からメタンガスへの転換率が低く、発酵期間が長くなるという問題を抱えていた。

 当社は環境機器のリーディングカンパニー。機械技術のほか環境浄化・環境保全をめざし、幅広い分野でバイオテクノロジーの研究に取り組んでいるが、今回開発した技術は浄化・保全に関する一連の研究開発案件の一つ。その根幹となる微生物分解処理について、現在精力的に研究開発を進めている。

 なお新技術2件は現在、特許出願中。

※ プライマー=特定のDNA配列部分を増やす反応に用いる短いDNA


担当窓口 基盤技術研究所

以  上