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三菱重工ニュース
2000年5月30日発行 第3843号

実船データ交換に成功
スウェーデンの造船設計システムと


 三菱重工業は、スウェーデンのTRIBON Solutions社(旧Kockums Computer Systems社)との間でISO(国際標準化機構)のSTEP(※1)を経由した造船設計システムの実船データ交換に成功した。今回成功したのは、当社の造船設計システム「MATES」とTRIBON Solutions社の造船設計システム「TRIBON-M1」。情報技術の高度化が進展するなかで、各々特長を持つ異なった3次元CADシステム間でデータを交換し連携することの重要性が増しており、今回の成功は、造船設計システムにおけるこの動きを先取りしたものとなる。

 交換したデータは「船の内部構造」に関するもので、これによってMATESで設計した船体構造情報をTRIBON-M1で活用することが可能となる。さらにMATESから伝達したデータを活用してTRIBON-M1で設計した情報をMATESに伝達することができる。MATES、 TRIBON共に多くの造船所で使われており、業界を代表するシステムである。

 異なる設計システム間のデータ交換は、その交換するデータの内容よって難易度に差があり、図形データに関しては、すでにIGES(※2)などの標準(※3)が存在している。
 
 一方、今回成功した製品情報モデルに関するデータ交換は、情報の種類が図形情報より圧倒的に多いことなどから難易度が非常に高い。
 現在、この交換標準としてSTEPの策定が進められているが、対象とする情報の種類が膨大なうえ作業に従事するスタッフが少ないなど、いろいろな事情が絡み合っていまだに標準制定まで至っていない。

 今回のデータ交換は、STEPのドラフト案のうち、船の構造情報に関するものを参考に、2年間にわたってTRIBON Solutions社とデータ交換の共同研究を実施、TRIBON Solutions社のSTEPに関するノウハウと当社の造船設計実務に関する知識とを組み合わせることで、詳細構造を含んだ実船の船体構造データを交換できるレベルに仕様を拡張した。

 仕様の拡張とは、一言でいえば伝達できる情報の種類、量を増やし、質を高めるなど、データのフォーマットを決めたということで、これに基づいて両社がデータ入出力プロセッサーを開発し、実船データを交換したもの。今回のデータ交換の実績は、今後のSTEPの標準策定作業にも貢献できるものと期待される。

 当社は、この3月に完了したシップ・アンド・オーシャン財団の高度造船CIMプロジェクトで開発されたシステムとMATESとの連携を図りつつ、当社造船システムの高度化を進めているが、今回のSTEPによるデータ交換の成功をもとに、MATESと種々の市販システムとのデータ交換機能を整備していき、MATESのオープン化を図っていくこととしている。

※1.「STEP」:Standard for the Exchange of Product Model Data
ISOが標準化を進めている製品データ交換のための国際標準規格(ISO10303)。概念設計から詳細設計、試作・テスト、生産、サポートに至る1つの製品のライフサイクル全体にわたって必要になるすべてのデータ(製品データ)を表現し、交換するための規格である。

※2.「IGES」:Initial Graphics Exchange Specification
異機種CAD間でデータを交換する際に使用する中間ファイル・フォーマットの1つ。ANSI(米国規格協会)が制定した。サポートするCADソフトが多いため、実質的に世界の標準になっている。

※3.標準:AのシステムとBのシステムの間でデータの交換をするとき、一般に中間ファイルとよばれるファイルを介して情報伝達を行う。この中間ファイルにどのような情報がどんな順番で書かれているかを取り決めておく。簡単にいうと、これがファイルフォーマットで、これを交換標準という。


担当窓口:本社船舶技術部
以  上