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三菱重工ニュース
2000年5月18日発行 第3839号

“革新的”なCバンド小型電子線照射システムを開発
加速エネルギー大型機並みの10メガ電子ボルト


 三菱重工業は、電子加速管の長さを大型機のわずか4分の1、重量を20分の1と大幅に小型・軽量化した「電子線照射システム」の開発に成功した。しかも最大加速エネルギー(透過能力)は10MeV (メガ電子ボルト。1MeV=100万電子ボルト)と大型機と全く同じ能力をもつ“革新的”な装置。4分の1の加速管で10MeVの加速エネルギーをもつ装置の開発に成功したのは世界でこれが初めて。
 当社の電子線照射システムは微生物や細菌などを死滅させる滅菌装置に適用されており、小型化によって大幅なコスト削減が可能となった。このシステムに組み込まれている電子加速管は滅菌だけでなく、医療用治療機器としても利用可能であり、加速管単体の販売も行う。18日から同時に開発した中型機と合わせ、各方面に向けて本格的な販売を開始する。


Cバンド 電子加速管


 電子加速管はその名のとおり、電子銃から発射される電子ビームを加速させ、光とほぼ同じ速度まで高める装置。電子ビームのエネルギーが高くなるほど透過力が強くなる。
 加速管は共振空洞を複数つなぎ合わせた装置。各空洞にマイクロ波を使って電場を作り、これに電子を投入して順次加速する。短い加速管長で大きな加速エネルギーを得るのは容易ではないが、加速に用いるマイクロ波の周波数を2倍に高くすると、従来の2分の1の加速管長で同じ加速エネルギーが得られる。従来の周波数を2倍にするとともに、マイクロ波による電場の発生方法に工夫を加え、小型の加速管で十分なエネルギーを得ることを可能とした。

 この小型電子加速管はKEK(文部省高エネルギー加速器研究機構)の協力を得て開発したもので、従来の長さ2.0mを50cmに、重さ500kgを25kgと一挙に小型・軽量化を実現した。

 大型機では2856メガヘルツ(Sバンド)の周波数を使っているが、小型機では民生用として世界で初めて5712メガヘルツ(Cバンド)の周波数を実用化、長年の加速管開発で培った高度な設計、解析技術並びに熱変形を考慮した超精密加工、組立技術を駆使することにより大型機と同じ透過能力をもつ小型装置の開発を実現したもの。

 電子滅菌装置は発射される電子ビームを対象物に当てて微生物や細菌を死滅させるもので、現行のガンマ線やガスを使った滅菌装置より環境にやさしくクリーンで安全な装置として世界的に認知されている。当社は平成8年、加速エネルギー10MeV、電子ビーム出力30kW(処理能力)の大型電子線照射システムを開発、国内では手術着等の、海外では注射器等の滅菌用として納入した実績をもっている。

 中・小型機とも大型機と同じ10MeVという加速エネルギー(透過能力)をもつ。小型機は電子ビーム出力(処理能力)が2~4kW、中型機が3~6kW。
 中型機の周波数は2856メガヘルツ(Sバンド)。両機種とも電源部をすべて半導体化、これまでに比べ、飛躍的な信頼性の向上、ランニングコストの低減をはかることができた。

 今回の中・小型機の実用化で、業界に先駆けて大型から小型までの品揃えが完成、これを契機に国内外に向けて営業活動を強化していく。

 一方、電子加速管を小型化したことでライナック等の放射線治療器具に組み込んで、装置全体を小型化することができるため、医療用治療器具メーカーに対しても加速管単体での販売を行っていく方針である。


営業窓口:一般機械部
製作事業所:名古屋航空宇宙システム製作所
以  上