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HOME 株主・投資家の皆様へ オンライン MHIレポート 2016 経営戦略 CFOメッセージ

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キャッシュ・フロー創出力をいっそう強化して成長投資資金を確保し、先に見える大きな機会に備えます。 取締役 常務執行役員 CFO 小口 正範

財務戦略の基本方針

三菱重工グループは、グローバル市場で競合他社に伍して成長し続けるべく、2015事業計画では事業規模5兆円超の高収益企業を目指してさまざまな施策を展開しています。具体的には明確な成長戦略を描き、その実現に向けて着実にリソースを準備する必要があります。一方において現実化したリスクにも対応していかねばなりません。これら成長のための投資についても、また現実化したリスクに対応するためにも資金的な手当てが不可欠です。財務戦略という観点からは、これらの資金需要は事業活動から創出されるキャッシュ・フローで賄うことを基本方針としています。

成長を後押しするためにも、またリスクにしっかりと対応していくためにも、今の財務体質を維持あるいはいっそう強化する必要があると考えています。またキャッシュ・フローの確保により健全な財政を維持することは、同時に当社のすべての業務プロセスの効率化、ひいては当社の競争力強化につながります。すなわちキャッシュ・フローの改善は、業務プロセスの改善を通じて将来の経営成績改善の先行指標ともなると考えているのです。

これらの考え方に基づき、経営資源を適切に配分しながら、キャッシュ・フローの創出を最大限に向上させるべく、キャッシュ・フロー重視の経営を推進しています。

2015年度のキャッシュ・フローの循環

戦略的事業評価制度による事業ポートフォリオの強化

当社グループが着実に成長し続けるためには、適切な事業ポートフォリオの構築が必要です。このための仕組みとして2010年に導入したのが、戦略的事業評価制度です。具体的には、すべてのSBU(注1)を収益性・財務健全性と事業性の評価に基づいて「伸長・維持」「変革」「縮小・撤退」「新規」の4つにポジショニングし、経営資源の最適配分を行っています。2015年度は、「伸長・維持」分野ではその創出したキャッシュ・フローのうち727億円は自らの成長に向けて再投資しましたが、それをはるかに上回る1,572億円を全社に還元しました。

本制度を導入してから約6年の間、「伸長・維持」事業に経営資源を厚く配分する一方、事業ポートフォリオの適正化を進めてきた結果、事業規模は5兆円の目標に向けて順調に拡大し、営業利益率も向上しています。M&Aに伴って一時的に増加している販売費および一般管理費を、PMI(注2)を今後いっそう進めることで効率化できれば、さらなる向上が可能だと見込んでいます。同時に、「縮小・撤退」事業は他社との合弁や譲渡などを進めています。この4年間の推移を見ると、資本配分比率では、「伸長・維持」「成長/リスク」が増え、「変革」「既存その他」が減るなど、再配分が進んでいることがわかります。

(注1) SBU:Strategic Business Unit(戦略的事業評価制度における事業単位)
(注2) PMI:Post Merger Integration(企業や事業の合併後の統合プロセス)

事業規模の拡大と収益性の向上 / 5兆円規模の高収益企業に向けた資本配分

キャッシュ・フローの改善

こうした経営資源の再配分による事業ポートフォリオの適正化により、利益が生み出すキャッシュ・フローは着実に拡大しています。さらには、運転資金の削減を中心とし、遊休資産および有価証券の流動化も並行して推進するなど、バランスシートの効率化によるキャッシュ・フローの創出も推進してきました。特に運転資金面では、SBUごとにキャッシュ・コンバージョン・サイクルの目標を設定して改善を進めており、2012年度は143日だったところ、2015年度には97日まで短縮しました。現在は目標を70日に設定してさらなる改善に取り組んでいます。これらのさまざまな施策によって、安定したキャッシュ・フローを生み出しバランスシートを拡大せずに事業規模の拡大を進めることができると考えています。

2015年度に得られた手応え

2015年度はMRJへの投資やユニキャリアの買収などの成長投資に加えて、客船事業の損失に対応するための資金の手当てを要したため、キャッシュベースでは厳しい状況にありました。財務健全性の悪化は将来の成長性にも悪影響を及ぼすため、常に細心の注意を払ってきましたが、これら合計3,000億円を超える規模の大きな資金需要に応えたにもかかわらず、結果としてフリー・キャッシュ・フローはプラスを通期で維持することができました。EBITDA(注)が5,000億円レベルになってきたことに端的に示されるように、これまでの取り組みによって、キャッシュを創出し、確保する力が当社に備わってきたと評価しています。

(注) EBITDA: Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization (利払い・税引き・償却前利益)

2011〜2015年度のフリー・キャッシュ・フロー推移

CFOの今後のミッション

ここ1~2年間、中国経済への過度の依存が解消される中で生じた資源価格の暴落、新興国経済の低迷、先進国産業構造の変化などが、中期的な供給力過剰の調整局面を呼び、当社グループや競合企業に大きな影響を与えつつあります。また、英国のEU離脱問題など国際的な政治的・経済的枠組みの揺らぎによる世界経済の混乱は中期的に続く恐れがあります。

この厳しい環境下で企業の淘汰も進むと思われますが、逆にそれを乗り越えることができれば、大きな成長機会が拓けているでしょう。つまり、健全な財政状態を保ちつつ、次なる事業計画の策定や、成長ドライバーとなる製品や技術への投資、それを支える財政面の手当てなど、次の成長への準備を今どれだけ進められるかが、今後勝者と敗者を分かつ分岐点になると考えています。特に当社は海外の競合企業と事業規模に大きな違いがありますので、戦略を差別化し、例えばエンジニアリング領域の強化など、彼らと異なる方法で競争力を磨かなければなりません。

私のCFOとしての今後の最大の役割は、財務体質の強化を進めつつ、同時に成長投資に向ける資金をどのように確保していくかという点にあると考えています。MRJへの大型投資に伴うキャッシュ・フローは2018年度前後にピークアウトする想定ですが、その後も、次の成長の柱となる事業に投下資本全体の約20%を充てる方針です。それに加えて、例えば大型のM&Aなどの成長機会が訪れた際に、短期的に大きな資金を投入しても財務健全性を維持できるよう、強固な財務状態を築いておかねばなりません。また、近年の海外市場への進出や大型事業の増加に伴ってリスクも拡大しており、それに備えたバッファも不可欠です。

そのため、事業ポートフォリオの最適化、バランスシートの改善など、これまでの取り組みをさらに加速させていきます。さらに、アセットマネジメントを推進し、資産の流動化を図ることで、2015事業計画期間中に2,000億円のキャッシュ・フローを捻出します。これら施策によって増加していく資金需要に柔軟に備えながら、自己資本を2兆円まで増強してリスクバッファを積み増すとともに財務健全性を向上させ、やがて訪れる大きな成長機会に備えたいと考えています。

ROEの向上

上述した通り当社グループは依然成長過程にあるため、積極的な成長投資のシーズマネー確保およびリスクバッファを考慮して、自己資本は引き続き増強していく考えです。一方で、株主価値の最大化に向けては資本効率の向上も不可欠だと認識しており、2015事業計画では2017年度のROE10.2%を目標に掲げています。

つまり現在の当社は、自己資本を厚くしながら、同時に収益性を改善し、ROEを向上させるステージにあると考えています。このためには、収益性の高い事業を見極めて重点的に経営資源を投入することと同時に、収益性が低い事業やリスクに見合わない事業を十分に検証して投入する資源を絞る、つまりは事業の選択と集中が重要だと考えています。

海外の競合企業と比較すると収益力の差は顕著です。それは市場からの評価にも表れており、競合他社は時価総額が売上規模を上回るのに対して、当社の時価総額は売上規模の半分にも達しません。収益性の改善なくしては、海外で競争相手に対応していくことはままならないでしょう。

配当政策

2015事業計画期間中は、ここまで述べたような将来事業への投資と、2兆円を目標とした自己資本の強化、ROEの改善の3点の状況を見極めながら、連結配当性向30%を目処に株主還元を行っていく方針です。2015年度は、客船事業の損失を主因に純利益は大きく下がったものの、事業全体としては好調な業績を維持できたと判断したため、配当額は年間で前年度から1円増額の、1株当たり12円とさせていただきました。株主および投資家の皆さまにおかれましては、今後ともご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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