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HOME 株主・投資家の皆様へ オンライン MHIレポート 2016 経営戦略 社長メッセージ

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次のステージでのさらなる飛躍を見据え、リスクマネジメントを強化するとともに、独自の強みを磨いていきます。 取締役社長 CEO 宮永 俊一

社長メッセージ動画

事業計画は概ね順調ながらも、客船事業で課題が顕在化

三菱重工グループは2015年度から3年間の新中期経営計画「2015事業計画」をスタートさせ、目標の達成に向けて諸施策を実行してきました。概ね順調に進捗しており、事業規模の拡大、収益性の強化はほぼ計画通りに進んでいます。しかしながら、前年度に続いて大型客船プロジェクトに想定以上の時間と費用を要した結果、2015年度は1,000億円超の特別損失を計上し、純利益は計画を大きく下回りました。これに加えて、ここ1年の世界経済の変調や競合先のさらなる強大化など事業環境の変化を踏まえ、リスク対策の強化とM&A後のPMI(注)の加速を主眼に置いた追加施策を2016年2月に策定し、事業計画を補強しました。

当社は造船を祖業にもち、客船も過去に建造した実績があります。今回も「船を造る」という面では、結果的には素晴らしい船ができたと思いますが、中にあるエンターテインメント施設など、いわゆる、ホテルや娯楽施設をつくるような技術力は、非常に不足していたと思います。それらは時代の進歩とともに新しい仕様になってきていますが、その点について客観的に評価したり、総合的にマネジメントする能力が不足したまま、従来の延長線上で判断してしまったところに問題があったと思います。企業として継続的発展を望む以上、「挑戦」することは決して悪いことではないと思いますが、そこに到るうえでの合意形成の流れや総合的な技術力・マネジメント力を含めた冷静かつ客観的に判断する仕組みのあり方なども含めて反省すべき点も多かったと思いますので、現在、徹底的に見直しを図ろうとしているところです。

(注) PMI:Post Merger Integration(企業や事業の合併後の統合プロセス)

2015年度業績と2015事業計画目標

2015事業計画の施策

既存

  • ・ドメイン別に役割を明確にした目標と達成戦略の推進
  • ・プロダクトミックスの戦略的再構築
  • ・業務プロセスの高度化と人財の強化
  • ・企業統治形態の変革
  • ・比較優位製品および技術の強化
  • ・次世代に向けた新たな事業やビジネスモデルの変革・創出
  • ・技術基盤の強化とイノベーション

追加

  • ・独自経営の加速—PMIの加速
  • ・運転資金の削減
  • ・効率化の徹底
  • ・アセットマネジメント
  • ・リスクマネジメント体制の抜本的見直し
  • ・シェアードテクノロジー部門の構築

飛躍を遂げるためのリスクマネジメント強化

こうした反省を踏まえ、リスクマネジメントの強化を図るべく、CEO直轄の「事業リスク総括部」を立ち上げました。事業リスク総括部は「リスク管理室」と「リスクソリューション室」からなりますが、リスク管理室は、コーポレートレベルのビジネスリスクの仕分けおよびプロセスレベルのリスクの未然防止活動を行い、リスクソリューション室は、重大リスク発生後の解決・支援対応などを担当します。

事業リスク総括部をCEO直轄としたのは、リスクの判断は成長を目指すことと表裏一体であるためです。成長するためにどうリスクをとるかという判断は、まさに経営判断そのものであり、トップマネジメントが意思決定すべき問題です。かつてのように国内で成長機会に恵まれた事業環境であれば大きなリスクテイクは不要だったかもしれませんが、当社グループがこれから飛躍を遂げるためには、海外のお客さま向けの事業や新事業など、リスクを伴う挑戦を避けられません。過去に起きた問題やその対応、海外の企業のリスクマネジメントを参考にしながら、当社グループの新しい時代に相応しいリスクマネジメントのあり方を追求していかなければいけないと考えています。

今回発現した客船等におけるリスクとその解決までの経験を通じて、リスクマネジメントの知見が深まったと言えるかもしれませんが、これだけの損失を出している以上、決して「よい勉強になった」と言って済ませるわけにはいきません。近年取り組んできた収益力の向上やキャッシュ・フロー経営への移行などによって財務基盤が以前よりも強化されていたので耐えることができましたが、そうでなければ当社グループの経営に重大な影響を及ぼした可能性もあります。この事例や、これまでの大口赤字案件などを改めて検証し、よりリスクに強い組織に変えていくことが必要です。客船事業については事業評価委員会を2016年4月に設置し、同事業の存否も含めた商船事業の全体戦略について協議を進めています。

リスクマネジメントの新体制(2016年6月現在)

説明責任を果たすことがガバナンスの基本

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リスクへの対応や意思決定に関して、取締役会の役割も数年前から変容してきました。従来は、どちらかと言えば形式的な議論や決議になりがちだった気がしますが、現在は、経営のポリシーや戦略的な部分を積極的に説明したり、それに基づく考え方や判断基準、その時点での実績や客観的事実を説明し議論するようになってきています。監督側である社外取締役の皆さまや社内の監査等委員に、より早い段階で説明を行い、多角的かつダイナミックな議論を行い、その中で形式的にならない、より実質的な判断ができればよいと思っています。

また、取締役の構成は、これまでも社内の取締役の削減と社外取締役の増加を進めてきましたが、2016年6月の株主総会をもってドメイン長(ドメインCEO)は執行側として事業経営に専念するために取締役兼務を解きました。これにより社内の取締役は取締役会議長を務める会長、監査等委員2名、そして執行側のCEO、CFO、CTOの計6名となりました。社外取締役は5名となり、社外取締役の比率が5割に近づいたほか、監督側が8名と執行側の3名を大きく上回るなど、経営監督機能がいっそう強化されました。

ガバナンスは、社会に求められる会社のあり方が時代とともに変わっていく限り、変わり続けなければいけないものだと思います。我々は多くの産業の核となるような技術を開発しているという責任の重さに加え、事業展開がグローバルになり、担う責任の広さと複雑さが増しています。「国連グローバル・コンパクト」に署名し、人権、労働、環境、腐敗防止に関わる10原則を実践しているのも、グローバル企業として相応しい責任を果たしていくためです。何よりも、自分たちの活動のプロセスや成果、その影響を、株主の皆さま、お客さま、事業パートナーの方々、協力会社やサプライヤーも含めたサプライチェーンを構成する方々など、さまざまなステークホルダーにご納得いただけるように真摯に説明していくというのが、ガバナンスの基本だと私は思います。そのために、社会の中での当社グループの役割や価値について取締役会などで幅広く意見を出し合い、そこで議論した内容を社員と共有し、さらには外部のステークホルダーの皆さまに伝えていきたいと考えています。また、このように透明性を保とうとする努力は、リスクマネジメントの強化にもつながっていくはずです。

コーポレート・ガバナンスにおける透明性の向上とリスクマネジメント強化については、社長と社外取締役の鼎談でより詳しく語っています。

世界で戦うためには、提携・M&Aと独自の強みの掛け合わせが必要

リスクマネジメントの強化も重要ですが、決して我々は守りに入っているのではありません。攻めるために、成長戦略も積極的に推進しています。現時点では、受注済みまたは受注見込みの案件を一定程度確保できているため、リスクマネジメントの強化と後で述べるPMIの加速が順調に進めば、多少の事業環境変化があったとしても、2015事業計画の業績目標を達成できる手応えがあります。我々が見据えているのはその先の成長です。次期事業計画の成長の柱であるMRJ事業は、開発、量産体制整備とも、2018年の初納入に向けて着実に進捗しています。

そのうえで、さらなる成長、そして飛躍を遂げるためには、得意な事業領域やすでに存在感のある地域をより強化するだけでなく、MRJに続く新規事業の検討も進めなければなりません。その際に重要になることは2つあります。

1つは、自前主義にこだわらずに事業提携やM&A等を行い、それぞれの地域や事業領域に応じた戦略をとっていくことです。新しい領域に進出していくわけですから、自らの努力だけで戦っていくには限界があり、単独では適切な戦略が判断できない可能性もあります。そのため、必要なパートナーを見極めて、その知見を活用することが必要になっていきます。

もう1つは、競合と差別化できる強みを活かしていくことです。我々の主要な競合相手は、圧倒的な規模を有しており、同じ土俵で勝負をしても勝つのは厳しいと言わざるを得ません。だからこそ、我々にはあって競合相手にはない武器を使っていかなくてはなりません。多様な技術や製品をすり合わせるエンジニアリングやEPC(設計・調達・建設)がそれに当たります。エンジニアリングやEPCの機能をさらに伸ばして、それぞれの地域や市場の中でさまざまなニーズに合わせてインテグレーションしていくような強みを活かしていくことが次の飛躍のための鍵となるでしょう。当社グループの独自の強みとしてエンジニアリング機能を強化しつつ、アライアンスやM&A等を駆使して、地域性を踏まえ、最適なグローバル展開を図るというのが、基本戦略になります。

これらを実行するために、世界の新しい市場で社外と良好なパートナーシップを築くことのできる人材を育てる必要があります。また、全社的にリスクマネジメントの力を底上げするためには、社員に若い時からさまざまな経験を積ませることも大切でしょう。従来、当社はOJTによる人材育成が中心でしたが、世界で活躍する人材を育てるためには、科学的な育成プロセスも検討していかなくてはなりません。

MRJ事業の進捗については、交通・輸送ドメインの営業概況で説明しています。

3社の合弁会社が成長を牽引

現在特に注力しているのは、主要合弁事業のPMIの加速です。三菱日立パワーシステムズ(株)、Primetals Technologies, Ltd.、三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボ ホールディングス(株)の3つの合弁会社は、当社グループの事業規模と利益の中核的存在と位置付けており、各社の事業特性に応じた迅速な自律経営を推進しています。各社ともそれぞれの事業領域において世界で有数のシェアを有しており、組織の再編による効率化や、技術・ノウハウのシナジー創出をいっそう進めることで当社グループの成長を牽引してくれると期待しています。2015事業計画の最終年度には、この3社が連結売上高および営業利益の約60%を占める見込みです。

昨今の中国経済の減速、それに端を発した資源国や日欧の経済低迷、さらには英国のEU離脱問題の影響など、世界経済はますます不確実性を増しており、当社グループの置かれている事業環境も厳しさを増しています。しかし、この激しい環境変化の中でも持続的な発展を目指していくことは、企業としての宿命であり、むしろ、そのような状況の変化に効率的かつ迅速に対応し、競合先よりも優位なポジションを築いていくプロセスこそが、グローバル競争の中で勝ち残っていくための術ということではないでしょうか。つまり変化を脅威と捉えずチャンスに変えていく発想と、機を捉えて柔軟に対策・施策を講じていくことが必要だと思います。

三菱日立パワーシステムズの戦略については、エネルギー・環境ドメインの営業概況で、Primetals Technologiesおよび三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングスの戦略については機械・設備システムドメインの営業概況で説明しています。

3社の独自経営合弁会社による成長促進

事業で社会に貢献し、世界を前に進めていく

グローバル化を推進し、海外の競合と戦っていくにあたっては、認知度向上の必要性も痛感しています。当社は国内ではある程度知られているものの、海外ではまだまだ「三菱重工グループ」の認知度は低く、それは営業上の不利益につながりかねません。当社グループの事業内容や経営姿勢を海外の方々にも理解していただき、ひいては海外市場の新顧客の開拓につながるよう、2016年5月に「グループステートメント」と「タグライン」を作成し、海外への広告展開等に活用しています。先日、私自身も米国のニューヨークを訪問し、主要なジャーナリストの皆さまにお会いして当社グループの強みと社会貢献への思いを説明したところ、大変好意的な反応をいただきました。今後、さらに他の地域でも浸透を図るべく活動していきます。

我々は社会インフラの基盤となる技術を時代のニーズに応じて常に磨いてきました。そしてお客さまやステークホルダーの要望を深く理解したうえで、そうした技術を有機的に統合することによって、実用的なソリューションを生み出し、社会の進歩に貢献してきたと自負しています。グループステートメントはこうした当社グループが果たす役割や世界の顧客に提供する価値を表しており、タグライン「Move the world forward」は、それによって世界を着実に前に進めていくことを表しています。「目指す企業像」で掲げているように、世界の発展に貢献し、ともに成長を続けることに当社グループの存在意義はあります。今後も、事業活動を通じて、たしかな未来に向けて世界を前に進めていけるよう、努力を尽くしてまいります。

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