事業等のリスク

  • 文字:
  • Print

    当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻くリスク要因には、為替変動・金利等の経済リスク、貿易制限・カントリーリスク等の政治リスク、製造物責任等の法務リスク、自然災害・事故等の災害リスク、株価変動・投資等の市場リスクをはじめ様々なものがあるが、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

    なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

    (1)経済情勢

    当社グループの経営成績は、日本及び世界各国・地域の経済情勢変動の影響を受ける可能性がある。日本では民間設備投資等の推移、海外では米国・欧州や中国・インド等新興国の経済情勢の変動が挙げられるが、複雑化する今日の世界経済の下では、必ずしも当社グループが事業を展開している当該国又は地域経済の情勢のみの影響を受けるとは限らない。

    (2)為替レートの変動

    当社グループの輸出・海外事業の取引は、主に米ドルやユーロ等の外貨建てで行われており、為替レートの変動が当社グループの競争力に影響を与える可能性がある。また、国内事業においても為替レートの変動による海外競合企業のコスト競争力の変化により、当社グループの競争力に影響が生じる可能性がある。さらに、国内競合企業と当社グループの為替レート変動に対する影響度合いが異なる場合は、国内外における当該企業との競争力にも影響が生じる可能性がある。当社グループは外貨建て取引にあたり、資材の海外調達拡大による外貨建て債務の増加及び為替予約等によりリスクヘッジに努めているが、為替レートの変動は当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。

    (3)資金調達

    当社グループの当連結会計年度末の有利子負債残高は1兆4,953億25百万円である。当社グループは、将来見通しも含めた金利動向を勘案して資金調達を実施しており、低利・安定資金の確保に努めているが、金利の大幅な変動をはじめとする金融市場の状況変化は、将来における当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。

    (4)輸出・海外事業

    当社グループは、世界各国・地域における輸出・海外事業の拡大を図っているが、部品の現地調達や現地工事に伴う予期しないトラブル、納期遅延や性能未達による契約相手方からの請求、契約相手方のデフォルト等の要因が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性がある。さらに、当社グループは、新興国での総合的なインフラ整備等に積極的に参画するなど、新たなビジネスモデルの構築・拡大に取り組んでいるが、各国政府が民間企業を主導して大規模インフラ開発案件の受注活動に力を入れるなど、激しい競争に必ず勝ち残るという保証はない。

    (5)業務提携

    当社グループは、国内外において多くの製品事業について、他社と業務提携、合弁事業等の関係を持っている。また、新興国等での総合的なインフラ整備への参画のために、より戦略的なアライアンスの強化・拡大を図っているが、市場環境の変化、事業競争力の低下、他社における経営戦略の見直し等を理由としてこれらの業務提携等が解消又は変更された場合、あるいはアライアンスが目論見どおり実現できない場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。

    (6)資材調達

    当社グループの事業活動には、原材料、部品、機器及びサービスが第三者から適時・適切に、かつ十分な品質及び量をもって供給されることが必要である。このうち一部の原材料、部品等については、その特殊性から調達先が限定されているものや調達先の切替の困難なものがあり、これら原材料、部品等の品質上の問題、供給不足及び納入遅延等の発生は、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。また、需給環境の変化による原材料、部品等の供給価格の高騰は、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

    (7)製品競争力

    当社グループは、性能・信頼性・価格面で常に顧客から高い評価を得るよう、更には市場の動きを先取りした新たな機能を提案できるよう、研究開発や設備投資を中心にした製品競争力の強化を進めているが、国内外の競合企業において当社グループのそれを上回る製品競争力の強化が行われるなどした場合には、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。

    (8)製品の品質等

    当社グループは、製品の品質や信頼性の向上に常に努力を払っているが、製品の性能、納期上の問題や製品に起因する安全上の問題について契約相手方やその他の第三者から国内外で請求を受け、また訴訟等を提起される可能性がある。また、当社グループが最終的に支払うべき賠償額が製造物責任賠償保険等でカバーされるという保証はない。

    (9)法令・規制

    当社グループは、国内外で各種の法令・規制(租税法規、環境法規、労働・安全衛生法規、独占禁止法・ダンピング法等の経済法規、貿易・為替法規、建設業法等の事業関連法規、証券取引所の上場規程等)に服しており、当社をはじめ、グループ各社で法令遵守の徹底を図っている(「第4 提出会社の状況」の「6 コーポレート・ガバナンスの状況等」に当社の状況を記載)。法令・規制に関しては、当局等から過料、更正、決定、課徴金納付、営業停止等の行政処分若しくはその他の措置を受け、また当局やその他の利害関係者から損害賠償請求訴訟等を提起される可能性がある。

    (10)知的財産

    当社グループは、研究開発の成果である知的財産を重要な経営資源のひとつと位置づけ、この経営資源を特許権等により適切に保全するとともに、第三者への技術供与や第三者からの技術導入を行っている。しかしながら、必要な技術導入を第三者から必ず受けられる(又は有利な条件で受けられる)という保証はない。また、知的財産の利用に関して競合企業等から訴訟等を提起され敗訴した場合、特定の技術を利用できなくなり、また損害賠償責任を負い、事業活動に支障をきたすおそれがある。従業員若しくは元従業員から、職務発明の対価に関する訴訟が提起されないという保証はない。

    (11)環境規制

    当社グループは、大気汚染、水質汚濁、土壌・地下水汚染、廃棄物処理、有害物質の使用、省エネルギー及び地球温暖化対策等に関し、国内外において各種の環境規制に服している。これらの規制が将来厳格化された場合や、過去、現在及び将来の当社グループの事業活動に関係し、法的責任に基づき賠償責任を負うこととなった場合、また社会的責任の観点から任意に有害物質の除去等の対策費用を負担するなどした場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。

    (12)人材の確保

    当社グループの競争力は、研究開発、設計、調達、製造、建設等の各職種における優れた専門的知識や技能を持った従業員により支えられている。当社グループは、グローバルな事業活動を一層進める中で優秀な人材を多数確保するため、国内に加え海外でも積極的な採用活動を行っているが、必ずしも十分に確保できる保証はない。また、技術・技能伝承の強化等、人材の育成にも努めているが、十分な効果が出るという保証はない。

    (13)関係会社

    当社グループは、当連結会計年度末において、連結子会社237社、持分法適用非連結子会社3社、持分法適用関連会社34社を有している。これら関係会社は、当社と相互協力体制を確立している一方、自主的な経営を行っているため、これら関係会社の事業や業績の動向が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。

    (14)災害

    当社グループは、暴風、地震、落雷、洪水、火災、感染症の世界的流行(パンデミック)等の各種災害に対して損害の発生及び発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めているが、このような災害による物的・人的被害により当社グループの活動(特に工場等における生産活動)が影響を受ける可能性がある。また、これによる損害が損害保険等で十分にカバーされるという保証はない。

    (15)情報セキュリティ

    当社グループは、事業の遂行を通じて、顧客等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を保有している。コンピュータウィルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、機密情報が滅失若しくは社外に漏洩した場合、当社グループの事業に影響を与える可能性がある。

    (16)退職給付費用及び債務

    当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した前提条件に基づいて算出しており、その主要な前提条件は退職給付債務の割引率及び年金資産の期待運用収益率である。これらの前提条件は妥当なものと判断しているが、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、将来にわたって当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。また、年金資産の運用利回りの変動や割引率決定の基礎となる日本の国債利回りの変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。