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三菱重工グラフ graph -Read the future-

No.170 2013. 1

MHI NEWS!

分散型電源の切り札 MEGANINJA、世界へ

素早く移動、素早く設置、素早く発電!トレーラで運べるコンテナ型ガス発電設備。

写真:コンテナ型ガス発電設備MEGANINJA(メガニンジャ)

広東省東莞市に納入されたMEGANINJA(東莞新奥燃気集団向け)

分散型の発電スタイルへ 世界が動き始めた。

写真:現地での設置工事に携わった関係者

現地での設置工事に携わった関係者

新興国の多くでは、急速な経済成長に送電網の整備が追いつかず、電力が不足している地域が残されている。一方、先進国においては、スマートコミュニティ構想に基づく低炭素で高効率な次世代型エネルギーインフラへのシフトが始まろうとしている。

たとえば近年、経済成長が著しいアジア、アフリカの両地域は電力不足が深刻化。消費市場が急拡大する中国や、良質で安価な労働力を求めてグローバル企業が進出するタイやインドネシアなどでは、安定した電力の確保が急務となっている。またアルジェリア、ナイジェリアなどでは莫大な天然ガスの埋蔵量が確認されており、ガスを燃料とした発電に期待が高まっている。

こうした中で注目を集めているのが天然ガスによる分散型電源。小規模な発電設備を消費地ごとに配置して電力を賄う“エネルギーの地産地消化”だ。長大な送電網が不要になるため、短期間かつ低コストで設置できるうえ、送電によるエネルギーロスも少ない。大規模電源の集中リスクを分散させる効果もある。

さらに主力燃料となる天然ガスは世界各地に豊富に埋蔵されているため調達しやすく、電力を安定供給するには最適な燃料といえる。しかも化石燃料の中で、燃焼時のCO2排出量が最も少ないクリーンエネルギーとして、地球環境という観点からも期待されている。

小さなモバイル発電所 MEGANINJA、海を渡る。

世界の国々で顕在化している電力不安という問題を解決するために、三菱重工は天然ガスによる分散型電源を開発した。コンテナ型ガス発電設備「MEGANINJA(注)」だ。その初号機、第2号機は2012年7月に中国広東省の工業地帯・東莞市に納入され、夏場の需要オーバーによる停電時にも工場をストップさせない、バックアップ電源としての役割を担っている。

MEGANINJAは、発電に必要なすべての機器をISO40フィートコンテナにワンパッケージし、トレーラに載せて電力が足りない場所へ素早く運べる、いわば“モバイル発電所”。従来はボルトナットで固定する必要があった配管や配線も、コネクタ方式でワンタッチ接続でき、据付もあっという間に行える。発電ユニットには天然ガスを燃料とするガスエンジンを搭載しており、ガス配管などの基礎さえ整っていれば現地に到着してから24時間以内に発電を開始できる。これまでは約1カ月を要した設置工事を一気に1/30に短縮する世界初のシステムだ。

さらにコージェネレーションシステムを併設すれば、発電時に発生する排熱も活用でき、エネルギー効率をいっそう高めることができる。

(注)MEGA:Mitsubishi Energy Gas Package

分散型電源市場を切り拓く 新たな拠点、誕生

写真:ガス分散型電源エンジニアリングセンター

分散型電源事業の拠点
「ガス分散型電源エンジニアリングセンター」
(中国・上海市)

さらに2012年10日1日、三菱重工の分散型発電ビジネスの拠点となる「ガス分散型電源エンジニアリングセンター」が上海に誕生した。

顧客ニーズに合わせた効果的なシステムを提案・構築する「システムエンジニアリング」や「エネルギーソリューション事業コンサルティング」、納入した設備の運用をサポートする「モニタリングセンター」をはじめ、エンジニア、セールス、アフターサービスの全機能を集約し、市場進出・拡大を図っていく。

シェールガス革命に沸く北米や、豊かな天然ガス資源を抱えるアフリカなどの国々へ。さらには電力の安定供給を待ち望む世界の人々へ。分散型ガス発電の将来には大きな可能性が広がっている。エネルギーの成長市場へ向かって三菱重工の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

MEGANINJA構造図

イラスト: MEGANINJA構造図。発電機制御パネル、潤滑油タンク、発電機、高効率ガスエンジン(1500kW)、ラジエータ

汎用機・特車事業本部
エンジン事業部
エンジン技術部 部長
市橋 一郎

MEGANINJAは、三菱重工のエンジン技術をすべて投入した集大成。

三菱重工は、発電から船舶、車両、航空機・ロケット用まで幅広いラインアップのエンジンを自社生産する世界でも数少ないメーカーです。MEGANINJAには、当社のエンジン技術やノウハウが凝縮されています。開発に当たって苦労した点は、40フィートコンテナにすべての機器を収めるためのレイアウトです。長さ約12メートル×幅約2.5メートル×高さ約2.6メートルの箱に、ガスエンジン、発電機、ラジエータ、発電機制御パネル、潤滑油タンクという5つのピースを配置して空間のパズルを完成させる。それには位置関係の最適化に加え、機器自体を小型化する必要がありました。例えばラジエータは冷却ファンの位置を見直し、風量を増やすことで長さを従来の半分に縮めています。さらに各機器をユニット化し、個別に取り出し可能として保守点検や交換の容易化を図ったことも設計上のこだわりです。

現地(広東省東莞市)への納入・設置は7月に行われました。初号機の据付ということで初めのうちはスムーズにいかない場面もありましたが、お客様(東莞新奥燃気集団)や現地協力会社のスタッフと打ち合わせを重ね、問題意識を共有して一致団結することでロスを取り戻すことができました。その結果、お客様との約束であった「到着後24時間以内の発電」を実証することができ、最後には感謝の言葉をいただきました。

中国では2020年までに50ギガワット(5,000万キロワット)のガス分散型発電設備を導入する計画です。上海でのガス分散型電源エンジニアリングセンターの設立を機に、まずは中国市場での足場を固め、グローバル市場へとステップを進めていきたいと考えています。

No.170 MHI NEWS!
MEGANINJA、世界へ