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三菱重工グラフ graph -Read the future-

No.167 2012.4

ココにもMHI 傘中空バルブ

中身がないことに、 意味がある。

エンジンの性能を大きく高める「傘中空バルブ」。

世界中の人々の暮らしに欠かせないクルマ。三菱重工が、そんなクルマの部品をつくっていること、ご存知ですか。そのひとつがエンジンバルブ。吸気・排気を制御する、エンジンの主要パーツです。優れた燃費性能が求められるエンジンの開発には、高効率化によって上昇する燃焼温度への対策、そして軽量化が大きな課題でした。そこで、三菱重工が出した答えが「傘中空バルブ」。燃費を高める切り札として、この小さなパーツに、自動車メーカーが大きな関心を寄せています。写真:普通乗用車向け傘中空バルブ(全長・約10cm、重量・約40g)

図:ここがエンジンバルブ

吸気・排気の制御を担う大切な「弁」であるエンジンバルブ。開閉することで、シリンダー内外へ気体を出し入れする。

過酷な環境で働くエンジンバルブ。

エンジンは、シリンダー内に吸い込んだ空気と燃料を燃焼させることで、ピストンを上下に動かし、その時に発生したガスを外部に吐き出します。吸い込んで、吐き出す。このエンジンの「呼吸」を担うのがエンジンバルブです。エンジンバルブには、1,000℃近い燃焼ガスにも屈しない耐熱性や、1分間に数千回という高速運動にも負けない耐摩耗性などの性能が欠かせません。過酷な環境で働くエンジンバルブは、見た目のシンプルさからは想像できないほど、タフな存在なのです。

目覚ましい冷却効率と軽さを実現。

写真:中実バルブ (従来)、傘中空バルブ
中実バルブ
傘中空バルブ

「傘中空バルブ」の最大の特長は、軸の中だけではなく傘と呼ばれるヘッド部分まで空洞にしたことです。さらにエンジンの高効率化にともなうバルブの高温化を見据えて、空洞部に熱伝導率の高いナトリウムを封入(注)。これによりバルブ自体の温度が下がるので、シリンダー内の温度を下げる役割を果たします。また、傘部まで中空にすることで、従来の中実バルブとくらべて最大20%の軽量化にも成功しました。

(注)エンジンを高効率化すると、シリンダー内の燃焼温度が上がり、燃焼異常(ノッキング)やエンジンへの高負荷などの問題が生じる。その解決策として空洞部に熱伝導率の高いナトリウムを封入。バルブ周辺の熱を空洞部に伝えて逃がすことで、シリンダー内の温度上昇を抑制する。

小さな部品に詰まった、航空機エンジンのノウハウ。

実は三菱重工では、戦前から航空機のエンジンを開発・製造。大空をより速く、遠くまで飛ぶためのエンジンは、大出力だから燃焼温度も高いのです。そこで、冷却性と軽量化を備えた「傘中空バルブ」が生まれました。冷却性に優れた軽いバルブをつくる技術を、なんと70年以上も前から追求していたのです。でも、従来の製造法では工程数が多くコスト高になり、クルマへの搭載がなかなかむずかしい状況でした。空から学んだノウハウを、これからのクルマづくりに活かしたい。その想いがついに実を結び、鍛造のみで「傘中空バルブ」をつくる製造法(特許取得済)を開発。世界で初めて、低コストで量産する体制を整え、提供できるようになったのです。

写真:三菱重工が製造した 当時の航空機用エンジン。

三菱重工が製造した当時の航空機用エンジン。

地球の未来を支えるために、これから世界中のクルマへ。

今、世界中の自動車メーカーが取り組む、環境に優しいクルマの開発。電気自動車が登場する一方で、まだまだ世界のクルマのほとんどはエンジンのチカラだけで動いています。地球環境のために、より高効率なエンジンが求められる中、優れた燃費性能を実現する「傘中空バルブ」は自動車業界から大きな期待を集めています。地球のために、エンジンの「呼吸」を支えるこの大切なパーツが、これからのクルマの燃費向上に貢献していきます。

No.167 ココにもMHI
中身がないことに、
意味がある。