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HOMEDiscover MHI三菱重工グラフ特集

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三菱重工グラフ表紙
2014年11月177号
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特集 大宙へ運ぶたしかな未来 打上げ輸送サービス ロケットのものづくり技術をもとに 宇宙利用の発展をサポートする

写真:打ち上げられたH-IIA25号機。鹿児島県・種子島宇宙センター

打ち上げられたH-IIA25号機。鹿児島県・種子島宇宙センター

日々の暮らしの中に息づく宇宙空間を利用した技術。たとえば、気象予報のための衛星、災害監視や地球環境を観測する衛星、ISS(国際宇宙ステーション)へ物資を届ける無人補給機HTV(注)など、さまざまなものが宇宙へと送られ、それらが活用されることで私たちは多くの恩恵を受けています。その重要な輸送を担うロケットの製造から打上げまでをトータルに手掛ける世界でも数少ない企業、三菱重工。宇宙空間の指定された場所へ、決められた時間に、確実に届ける打上げ輸送の今をご案内しましょう。

(注)国際宇宙ステーションへ荷物を運ぶために日本が独自に開発した無人補給機。通称「こうのとり」。H-IIBロケットに搭載して打ち上げられる。

宇宙輸送のスペシャリスト 製造から打上げまで、サービスを一貫して担う

2007年、JAXAより事業移管し、ロケットの製造から衛星を目的の軌道に投入するまでをトータルで手掛ける三菱重工。長年、ロケットの製造に携わってきた三菱重工が一貫して担うことで、日本の打上げ輸送を国際競争力のあるサービスに向上させました。

高精度なものづくりと経験をもとに
円滑で安定した打上げサービスを実現

日本の宇宙開発の初期から、40年以上にわたりロケット製造の中心的役割を担ってきた三菱重工。2007年、JAXA(宇宙航空研究開発機構)からロケット打上げが民間に移管され、三菱重工は契約締結からロケット製造、打上げまでを一貫して担う世界でもまれな「打上げ輸送サービス」を開始しました。それにより製造責任を一元化し、効率的に運営することで日本の打上げ輸送の国際競争力を高める契機になりました。

「打上げ輸送サービス」はまず、JAXAや衛星事業・製造企業から依頼を受けて契約し、運ぶものに合わせてロケットを設計します。製造工程では高性能な液体ロケットの要である第1段・第2段ロケットエンジンと燃料タンクなど、機体の大部分を担当。一つひとつ手作業で正確に製造し、その間には過去の打上げ実績で得た膨大なデータと照らし合わせた、厳しい試験と検証を幾度となく繰り返します。

2007年の初打上げから今日まで成功を続けている「打上げ輸送サービス」。ロケット打上げに関する業務を一手に担うことで、コストを抑えながらスムーズかつ確実に宇宙空間へ物資を届けています。

図:三菱重工打上げ輸送サービス
エンジンや燃料タンクなど主要部品の製造を担当

複数のロケットエンジンや燃料タンクが並ぶ工場内。艤装を担う飛島工場では、年間4~5機の生産能力を有する。

写真:第1段の燃料タンクとエンジンをつなぐ部分

第1段の燃料タンクとエンジンをつなぐ部分。何万箇所も手作業で穴をあけ、鋲を打つ作業が繰り返される。

写真:エンジンの性能確認として田代試験場(秋田県)で燃焼試験が行われる。

エンジンの性能確認として田代試験場(秋田県)で燃焼試験が行われる。エンジンから噴出される炎の温度は3,000℃に達する。

写真:第1段の主エンジンである高性能エンジン「LE-7A」。

第1段の主エンジンである高性能エンジン「LE-7A」。試験を経て打上げの約1年半前には完成。工場内で機体へ取り付けられる。

地上36,000キロメートルへの旗手 決められた時間に、目的の場所へ。成功へ向け先導する

荷物を確実にスケジュール通りに宇宙へ。そのために三菱重工は、打上げまでの無数の工程をひとつのプロジェクトとして管理し、パートナー企業をリード。それにより定刻打上げを継続しています。

宇宙に届けるまでの任務を遂行する

工場でつくられたロケットの機体は、射場である種子島宇宙センターへと運ばれ、三菱重工主導のもと打上げまでの作業が行われます。ロケットは衛星を格納したフェアリングなどと結合して、ひとつの機体へと組み上がります。その後、最終点検を行い発射点へと移動。カウントダウン準備作業に入ります。三菱重工は気象条件などの問題がないかを判断し、打上げを執行。ロケットの打上げから衛星を分離するところまで、データを監視します。

このようにして膨大な工程と複数のパートナー企業をまとめて、成功へと導く三菱重工。大型プロジェクトを数多く担ってきた管理能力を発揮し、打上げ輸送サービス開始以降、天候の急変を除き、定刻打上げを継続しています。

「確実に」「決められた日時に」「決められた場所へ」、高い精度で荷物を送り続け、宇宙産業のライフラインとして活躍しています。

写真:専用の輸送コンテナに積み込まれて種子島へと到着したロケットのコンポーネント

専用の輸送コンテナに積み込まれて種子島へと到着したロケットのコンポーネント。組立棟にてはじめて垂直に立てられ、固体ロケットブースタなどが取り付けられる。

写真:ひとつになった技術と思いを載せ、ロケットは宇宙を目指す

組み立て後、ロケット専用運搬台車「ドーリー」で発射点まで慎重に運ばれるH-IIA23号機。気象などさまざまな条件をクリアしたうえで、多くの人が見守る中、発射の時を迎える。

技術を未来に新型基幹ロケット開発へ

今後さらに多様化する宇宙輸送のニーズ。
三菱重工は新型ロケットの開発で対応力を強化するとともに、大切な技術を継承していきます。

ロケット開発の歴史が塗り替えられる転換期

1994年、純国産の大型ロケットH-IIの打上げにより、日本のロケット開発は世界と肩を並べました。その後、コスト削減を実現したH-IIA、また、HTVなど大型の荷物を運ぶためのH-IIBへと改良を続けてきました。そして今、日本のロケット開発は大きな転機を迎えようとしています。多様化する宇宙輸送のニーズに応えるためにH-IIAの高度化を推進。さらに国内の官需だけでなく世界の幅広い需要に応えるべく、2020年にはH-II以来約30年ぶりの新型基幹ロケットH-III(仮称)を打上げ予定。多様なニーズに応え、コスト競争力のある、新型ロケットの早期開発という重要なプロジェクトに取り組んでいます。これにより国際競争力を高め海外の需要にも対応していきます。

H-IIIまでの歩み
1994年
初の純国産ロケット
H-IIの開発
100パーセント国産技術で開発された2段式ロケットで、第1段に水素を燃料とする高性能エンジンを搭載。計7機が打ち上げられている。
全長 約50メートル/打上げ能力(注) 約4トン

(注)静止遷移軌道への打上げ能力。(以下同じ)。

2001年
図:全長約53メートル 打上げ能力(注)約4~6トン
主力機のひとつ
H-IIAの開発
H-IIの技術を引き継いだ日本の主力ロケット。2006年には打上げ能力を6トンまで向上させた。2007年の13号機から三菱重工が打上げ輸送サービスを実施している。
2009年
図:全長約57メートル 打上げ能力(注)約8トン

ISSへ大切な物資を届ける
H-IIBの開発
HTVによりISSへ物資を運ぶためにH-IIAの能力を向上させたロケット。高い打上げ能力で幅広いニーズに対応。

写真:HTV「こうのとり」

HTV「こうのとり」

2015年(予定)
衛星をよりやさしく運ぶ
H-IIA高度化
拡大する商業衛星市場に対応するためにH-IIAを改良。静止軌道により近い軌道への投入が可能になり、衛星の長寿命化に貢献。衛星の設計の幅も広がる。
全長 約53メートル/打上げ能力(注) 約4~6トン
2020年(予定)
図:全長約60メートル 打上げ能力(注)約2~6.5トン
次世代の世界標準に対応するH-III
新型基幹ロケット開発へ
性能向上とコスト競争力の強化を目指し、H-IIIの開発を開始。新型ロケットの開発は約30年ぶり。固体ロケットブースタの本数を変えることで多様なニーズに対応する。

「経験知」を継承していくことが課せられたミッション

新型ロケットの開発が担う、もうひとつの役割。それは、「技術の継承」です。H-IIロケットの開発から30年が経ち、当時開発に携わった技術者たちは少なくなってきています。このままでは技術を伝承できる人がいなくなり、日本のロケット開発が滞ってしまう危険があるのです。重要なのは「ノウハウ」ではなく、「ノウホワイ(WHY)」。先達が「なぜ」そうしたかを検証し、その背景にある経験や知識を受け継いでいくことが大切です。打上げ事業のための技術を継承していくこと。それがこれまで日本のロケット打上げを担ってきた三菱重工の責務と考え、これからも国内外の宇宙開発事業を足元から支援していきます。

Study Page

ロケットの旅
―衛星を軌道に届けるまで―

衛星を打ち上げてから目的の軌道に乗せるまでには、ロケットはどのような旅をするのでしょうか。
ここでは、その仕組みとロケットがたどる道のりをご紹介します。

ロケット打上げ

図:H-IIA飛行の様子(一例)

東京~大阪間を約55秒!猛スピードで宇宙空間へ

衛星や物資を宇宙空間へ運ぶロケットは、重力に反する強力なパワーで大気圏外へと飛び出します。燃料を燃やしてガスを勢いよく噴射し地球を飛び立った後、タンク内の酸素を使うことで酸素のない宇宙空間でも燃料を燃やし続けて飛行します。この噴射パワーは、実に東京~大阪間(約550キロメートル)をたった55秒ほどで移動する速度。新幹線と比べると約125倍もの速さ(注1)です。

そして、段階ごとに使い終わった燃料タンクなどを切り離し、さらに軽く速く飛んでいきます。同時に慣性誘導(注2)、電波誘導(注3)などさまざまなコントロール方法によって目的の軌道へと向かうのです。

(注1)新幹線の時速を285キロメートルとした場合。距離は噴射パワーを地上の直線距離移動に換算したもの。
(注2)ロケット自体に搭載されたコンピュータで制御するナビゲーション。
(注3)地上からレーダーで指示を出すナビゲーション。

なぜロケットを打ち上げるの?

地球では簡単にできないことを行うために、宇宙の利用が盛んになっています。その際に必要なものを宇宙へ届けるのがロケットの役割。

たとえば、毎日のように目にする天気予報。これも軌道に届けられた気象衛星から、広い範囲の空模様を観測して予報しています。またHTVにより宇宙に届けられる荷物は宇宙環境を利用したISSでの研究活動をサポートします。宇宙飛行士たちは実験機材や食料を載せたHTVの到着をとても楽しみに待っているのです。

写真:若田宇宙飛行士

ISSにある日本実験棟「きぼう」(MEET MHIで紹介)で植物の生育実験に関する作業を行う若田宇宙飛行士

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