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HOMEDiscover MHI三菱重工グラフ特集

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三菱重工グラフ表紙
2014年5月175号
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特集 空と大地の恵みを力(エネルギー)に 地熱×水力

地中から噴く蒸気の力で、電力を生み出す

大分県・九州電力(株)八丁原発電所

ここを流れる水の圧力で、電力を生み出す

岐阜県・中部電力(株)徳山水力発電所

豊かな自然に囲まれた日本には、再生可能エネルギー源が数多く存在します。
それらは燃料を輸入に頼らない純国産エネルギーであり、中でも地熱や水力を使った発電は、安定した供給が見込める方法として期待されています。
三菱重工は、約1世紀前から水力発電、半世紀前から地熱発電所の建設に携わってきました。
環境に配慮したエネルギーの創出へ、その可能性の“光”を見つめ直してみましょう。

動画 「地熱発電」編
動画 「地熱発電」編(YouTubeへリンクします)
地中の熱がどうやって電力を生み出すのか?大分県・八丁原発電所を例に、そのプロセスを紹介
動画 「水力発電」編
動画 「水力発電」編(YouTubeへリンクします)
ダムの水がどうやって電力を生み出すのか?岐阜県・徳山水力発電所を例に、そのプロセスを紹介

地熱 世界の標準“ハッチョウバルタイプ”

マグマで熱せられた地下熱水の蒸気をエネルギーに変える地熱発電。1977年、三菱重工(注)が開発した八丁原発電所1号機の運転が始まると、その画期的な方式は“ハッチョウバルタイプ”と呼ばれ、世界中から注目されました。そして、今やこの方式は、北米や欧州など世界各国で採用されています。

(注)2014年より地熱発電事業は、三菱日立パワーシステムズ(株)(三菱重工と(株)日立製作所の合弁会社)に移管。それ以前からの事業を継承したものであるため、ここでは「三菱重工」と表記。

日本生まれのプラントが世界13カ国で活躍中

天候や昼夜を問わず、一定量のエネルギーを半永久的に供給できる発電として注目を集めている地熱発電。地中の熱エネルギーを電力にするこの方式は、これまでどのような発展を遂げてきたのでしょうか。

1964年から、三菱重工は九州電力(株)と地熱発電の研究を進めており、1967年には日本初となる熱水型の地熱発電、大岳発電所が運転を開始。そして1977年、八丁原発電所の「ダブルフラッシュ方式」の誕生により、三菱重工は世界が認める地熱発電のプラントメーカーになりました。

これまでにアメリカ、アイスランドなど13カ国へ100基以上の発電プラントを納入。これらの総電力は、世界の地熱発電出力(発電設備容量)の約3割を占めています。

今も世界中で地熱発電の新たな開発が進められています。また、既存施設では低温の地熱源も利用可能な「バイナリー方式」への転換が進行中です。

自然環境に配慮した資源開発へ、その挑戦はこれからも続いていきます。

1967 PAST
写真:大岳発電所(大分県)

日本初の熱水型地熱発電所が
九州・大岳に誕生

1967年に運転を開始した大分県の大岳発電所。ここでの実績を発展させ、ダブルフラッシュ方式の地熱発電所として、八丁原発電所が建設された。

2014 NOW
写真:八丁原発電所(大分県)

従来型より出力約20パーセント増を実現した「ダブルフラッシュ方式」。フラッシャーにより、熱水を蒸気に変えて発電に使用することで、より高効率に!!

図:日本の地熱発電がある場所
20XX NOW  FUTURE
写真:八丁原バイナリ―(大分県)

大地の恵みをより有効的に!
バイナリー方式

より低温の熱源からも発電が見込めるバイナリー方式。熱源の長寿命化や発電所への導入の拡大など地熱発電の可能性を大きく広げる。

地熱が電力を生むまで

資源は大地の恵みから 一般家庭約3万6,000世帯分のエネルギーに
写真:二相流体輸送管

地下から取り込んだ蒸気と熱水は、二相流体輸送管を通って発電所へ。1本の配管で輸送できるので建設費のコストダウンにもなる。

写真:タービン

1分間に3,600回転するタービンが発電機を稼働させる。毎時5万5,000キロワットの電力を生む。

写真:冷却塔

タービンで使用された蒸気は復水器で温水になる。この冷却塔ではその温水を冷却して再び、復水器へ送る。

写真:夜の住宅地

水力 エネルギーの伝導役 水圧鉄管

水位の差から生じる力によって電力を生む水力発電。
三菱重工(注)は、発電所へ水を運ぶ水圧鉄管を1921年から手がけてきました。
その開発力と溶接技術は、徳山水力発電所の建設にも大きく貢献しています。

(注)2009年より水力発電事業の一部は、三菱重工メカトロシステムズ(株)(三菱重工の100パーセント出資の事業会社)に移管。それ以前からの事業を継承したものであるため、ここでは「三菱重工」と表記。

巨大な鉄管をつないだ豊富な経験と高い技術

水圧を利用して電力を生み出す水力発電は、古くから人々の生活を支えてきました。三菱重工はこれまでに6万キロメートル以上の水圧鉄管を国内外へ納入するほか水車、ポンプなど水力発電に関する製品を手がけてきました。奥美濃(おくみの)発電所(岐阜県)や神流川(かんながわ)発電所(群馬県)、小丸川(おまるがわ)発電所(宮崎県)などの建設に大きく関わり、2014年6月に運転を始める徳山水力発電所の建設では、ダム湖からの水を発電機に直結した水車へ送る水圧鉄管の設置を担当。最大出力15万3,400キロワットの発電所です。

建設時には、現場に工場を設置し、自動溶接機を導入。約50度に及ぶ急勾配でも安定した精度で、総距離約900メートルもの鉄管をつなげました。「限られた時間の中でも溶接技法などの高い技術力を発揮し、建設を牽引していただいた〔中部電力(株)徳山水力建設所副長・桑原憲二氏〕」という言葉からも三菱重工の水力発電に対する強い使命感がうかがえます。さらに、その技術はアメリカやインドなど海外の水力発電所をも支えているのです。

アジアや中南米などで水資源を利用した電源開発の需要が見込まれる今、三菱重工は世界市場での競争力を一段と強化していきます。

1995 PAST
写真:奥美濃発電所(岐阜県)

当時の国内最大級
奥美濃発電所

1995年に運転を開始し、最大出力150万キロワット(当時では国内最大)。この発電所で水圧鉄管を手がけた技術や実績が、今日の発展につながっている。
写真提供:中部電力(株)

2014 NOW
写真:高張力鋼

傾斜は最大で約50度! この落差から大きな電力が生まれる

最大角度約50度にも及ぶ急勾配に大量の水を流すために、水圧鉄管には高い水圧にも耐えられる高張力鋼を使用。高い溶接技術が求められるため、それを手がけられるのは国内でも数社という。

2014.6 NOW FUTURE
写真:徳山水力発電所(岐阜県)

新たなエネルギー供給源
徳山水力発電所

最大出力15万3,400キロワット(一般家庭約8万世帯分に当たる(注))。中部電力エリアの新たなエネルギー供給源となる。
(注)年間発電量約3億キロワット時の場合

水圧鉄管を設置する様子

暮らしを支えるエネルギーに
写真:水圧鉄管
写真:水圧鉄管の検査の様子

最大直径が約5メートルの水圧鉄管。鉄管をトンネル内に設置した後は、作業用に設けた穴から入り溶接や検査を行う。

写真:水圧鉄管の内部

電力は水圧によって生まれる。高い水圧にするには、大量の水と高低差、その水圧に耐えられる鉄管が求められる。

写真:岐阜市の夜景(写真提供:岐阜市)

自然の恵みを
もっと活かしていける未来へ

自然の恵みから生じるエネルギーを電力に変える。そこには限られた場所で生じるエネルギーを、その土地の自然条件に応じて幅広く活かしていくための技術革新がありました。三菱重工は今後も地球の恵みとの調和を大切にしながら、社会にエネルギーを届けていきます。

写真提供:岐阜市

Study Page

地熱・水力を電力に変える
テクノロジー

再生可能エネルギーはどのようにして生まれるのか、発電効率はどのように向上するのか。ここでは地球の熱と水のパワーをエネルギーに変える仕組みを紹介!

地熱発電

図:地熱の構造

三菱重工オフィシャルサイト内「『地球と“ともに”歩む』
出典:地熱エネルギーSerial No.87(July,1999)」より改変

地中に潜むエネルギー源「地熱貯留層」とは

地熱エネルギーの熱源は、プレート移動による摩擦熱などで生じたマグマだまりです。火山や天然の噴気孔、温泉などがある地域(地熱地帯)の地下数キロメートル付近は1,000℃前後になっています。この上部に水が通りにくい粘土質のキャップロック(不透水層)などがあると、地下深部から上昇した熱水や蒸気はその下にたまります。この層が地熱貯留層です。

この層に向けて井戸を掘り(蒸気井)、蒸気によって電力を生み出すのが地熱発電。地熱発電所は、地中がこのような構造になっている場所につくられます。

地熱を活かす発電方式とは?
効率よく低コストを実現した理想的なシステム

では、地熱からどのように電力を生み出すのでしょうか。まず、蒸気井から取り出した熱水や蒸気は、二相流体輸送管で気水分離器に運ばれます。ここで分離された蒸気の力でタービンを回して発電。発電後、排気された蒸気は復水器で冷やされ、温水となり冷却塔へ送られます。大気に触れたその温水は冷やされ、復水器に再び戻り、冷却水として再利用されます。この一連の流れがシングルフラッシュ方式です。

ダブルフラッシュ方式は、気水分離器で分離した熱水をフラッシャーで圧力を下げて膨張させ、蒸気を発生させます。この蒸気も利用して発電するため、シングルフラッシュ方式に比べて出力が約20パーセント増えるのです。

また、バイナリー方式は地熱を水より沸点の低い液体に媒介して加熱し、生じた蒸気で発電を行います。従来の地熱発電より低温の熱源や地表から近い熱源を利用できることから、探査・調査などの初期投資負担も軽減されるとして注目が高まっています。

図:ダブルフラッシュ方式の構造

九州電力(株)「GUIDE OF GEOTHERMAL POWER PLANT」より改変

水力発電

図:徳山水力発電所 模式図

中部電力(株)オフィシャルサイト内「でんきのあした」より改変

高低差のある地形を活用
電気が生まれる原理とは?

ダム湖や貯水池の水は、高いところから低いところへ流れ、その落下時のエネルギーで水車を回して発電します。そのうち、需要の少ない夜間帯などの余剰電力を活用して、下の貯水池から上の貯水池へ水をくみ上げ、電力需要の高い時間帯に発電する方式を揚水発電といいます。一方、河川やダム湖などの水を発電施設に流し込む方式を一般水力発電といい、徳山水力発電所はこの方式です。

いずれの方式でも水力発電所は、豊富な水量と高低差のある場所につくられます。また、大規模な水力発電では、落下する時の水圧が高くなるため、強度の高い配管となる水圧鉄管が求められます。

写真:水圧鉄管(分岐管)の内部
写真:水圧鉄管(分岐管)の外観

2本の水圧鉄管をつなぐ分岐管の部分。特にここに高い水圧がかかるため、溶接には慎重を期す。

強度、耐久性に優れた金属「高張力鋼」とは?

ダム湖の水は水車まで運ばれ発電に使われます。その時、活躍するのが水圧鉄管。徳山水力発電所には総距離約900メートル、最大直径が約5メートルという巨大な鉄管を設置しています。

この水圧鉄管には高張力鋼という鋼材を使用しています。徳山水力発電所で使用された鋼材は最高で強度570メガパスカル(一般的な建築物の鉄骨は400メガパスカル程度)。

高い圧力に耐えられる強度があるため、材料そのものの使用量を抑えられ耐久年数が長いことも特長です。これは奥美濃水力発電所や、神流川水力発電所などでも採用されています。ただし溶接での温度管理など、細かな技術と経験が必要になるため、現在「100キロ鋼」と呼ばれる高張力鋼を使用した製品では、三菱重工は国内唯一の実績を持っています。

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