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エネルギー•環境分野を軸とした経済成長

日本の経済成長の主軸となりえる環境ビジネス

イメージ:日本の経済成長の主軸となりえる環境ビジネス

地球環境を守り、日本経済が今後も成長を持続していく基盤をつくるためにも、エネルギー利用のあり方を見直すことが重要になっています。2008年以降、世界経済が大規模な不況に見舞われる中、不況を突破する鍵を環境対策に求めるべきだという声が世界的に広がりをみせています。環境問題と不況•雇用問題を同時に解決しようという考え方で、「グリーン•ニューディール」と呼ばれる政策です。

環境の質の保全や回復に貢献する労働を「グリーン雇用」と呼びますが、今後世界的に低炭素で持続可能な経済へと移行していく中で、グリーン雇用が多く生み出されることが想定されます。そのためには、低炭素社会に向けた各国の財政出動や国際的な取り組みが重要です。その一例としてアメリカのオバマ大統領は、再生可能エネルギーへの1500億ドルの投資や公共施設の省エネ化によって、数百万人規模の雇用創出を2009年1月の就任後における経済政策第1弾の中で表明しています。

日本でも、2009年12月に閣議決定された新成長戦略(基本方針)の中で、「グリーン•イノベーションによる環境•エネルギー大国戦略」を掲げ、2020年までに50兆円を超える環境関連の市場を生み出し、環境分野の新規雇用を140万人分創出、さらに日本の民間ベースの技術を活かした世界の温室効果ガス削減量を13億トン以上とすること(日本全体の総排出量に相当)を目標にしています。
環境ビジネスは、単に地球温暖化防止に貢献するというだけでなく、今後の経済成長を牽引する有力な産業であるという認識が広まりつつあります。

日本の優れた社会システムの輸出

低炭素社会に向けた官民挙げての取り組みは、新たな環境ビジネスや市場を生み出し、経済活性化の重要なきっかけとなるものです。エネルギーを供給する側では、再生可能エネルギーの活用や、火力発電のさらなる効率化、原子力発電の利用拡大などが、新たなビジネスを生み出します。また、一般企業や家庭などエネルギーを利用する需要サイドにおける取り組みも、新たな市場創出を可能にします。

低炭素社会を実現するためには、電気自動車、高効率ヒートポンプ、省エネ家電など個々の機器の利用拡大が必要となります。さらに、住宅、オフィス、交通機関、ライフラインを含む地域レベルでのエネルギー利用効率の向上も求められます。単なる省エネ技術だけではなく、電力の安定供給や安定利用のために電気を蓄える技術も重要で、こうした「蓄電技術」を中核としたビジネスも、これまで以上に成長していく可能性を秘めています。各地域でエネルギーを融通しあって、エネルギーをより効率的に利用する「スマートコミュニティ」構想など、低炭素社会における新しい社会システムづくりが進むことで、地産地消型の地域環境ビジネスが誕生することも期待できます。

こうした低炭素社会に向けた取り組みを、経済成長をともないながら進めるには、さらなる技術革新と従来の発想を超えた新しいビジネスモデルが必要になります。そこで重要なのは、複数の要素を組み合わせて作り上げる“インテグレーション能力”です。
日本には、優れた省エネ技術や環境技術があり、すでに多くの製品やシステムを世界に輸出しています。そうした技術資産を活かしながら、運用ノウハウやインテグレーション能力をさらに高めることで、環境技術を使いこなした新しい「低炭素社会システム」自体を世界に発信していくことができるようになります。それは日本の産業界における、新たな輸出競争力の源泉になるはずです。

生み出される環境分野の新規雇用

イメージ:生み出される環境分野の新規雇用

環境ビジネスの成長による経済活性化は、雇用機会の拡大にもつながります。とりわけ、日本では地域産業の疲弊が課題であり、その突破口として新たな環境ビジネスが模索されています。環境対策が地域経済の活性化や雇用状況の改善につながることについては、すでにさまざまな研究や報告がなされています。

環境省では、高知県を例に、2020年に約3割の温室効果ガスを削減することを想定し、太陽光発電の普及や公共交通の利用促進などの対策を講じた場合の地域経済への波及効果を算出しました。この結果、投資額を大きく上回る高い経済効果があることがわかりました。
また、東京都千代田区では、都心の低炭素化と地方の活性化を両立するため、地方の大型市民風車プロジェクトの支援を行う計画を発表しています。都市と地方が連携した地球温暖化対策が進めば、都市から地方への資金の移転が促され、それが地域経済を潤すことになると考えられるからです。

地方公共団体自体もいま盛んに温室効果ガスの排出削減を進めています。例えば、産官学共同の「地域ゼロ•エミッション」構想のなかから、間伐材や廃プラスチックを木質複合材にリサイクルする環境ビジネスが誕生するなど、新たな雇用を生み出し、地域経済の活性化を促す試みも進んでいます。

参考文献

(1)環境省「環境白書」
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h21/index.html
(2)環境省「諸外国の動向」
http://www.env.go.jp/guide/info/gnd/pdf/fc_trend.pdf
(3)新成長戦略(基本方針)
http://www.env.go.jp/earth/info/challenge25/r-info/attach/kantei_091230a.pdf
(4)環境省「地球温暖化対策と地域経済循環に関する検討会 報告書」
http://www.env.go.jp/policy/gwc-lec/com/report.pdf
(5)内閣府 原子力委員会「環境エネルギー技術革新計画」
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2008/siryo24/siryo24-2-5.pdf

(注)2010年3月末時点での掲載内容を参考にしております。そのため、記載されているURLまたはその内容が変更されている可能性があります。