世界のエネルギー安定供給と持続可能な社会の実現のために三菱重工に期待すること(2006年2月28日開催) page1

三菱重工は2004年度に初めてのステークホルダー*1ミーティングを開催しました。この中で、社会との対話をさらに進め、特にエネルギー分野で三菱重工はどのようなビジョンを持ち、どのような役割を果たしていきたいかを明確にしてほしいというご意見をいただきました。そこで2005年度はエネルギーをテーマにミーティングを開催し、各界の代表者にお集まりいただき議論を行いました。
エネルギー問題をどうみるか
古屋:
当社の3E展開という考え方について、ご意見を伺いたいと思います。
大澤氏:
3Eのバランスが重要というのは、新日本石油でも同じ考えを持っています。エネルギー会社という立場からお話ししますと、今、これからのエネルギー供給を真剣に考えなければいけない時期にきています。エネルギー需給見通しでは中国、インドなどの経済発展により、今後エネルギー需要が年2%伸びていくと考えられています。一方で、2030年に石油生産量がピークを迎えるという予測があります。
この需給ギャップを埋めるためには新たなエネルギー対策が必要です。それが非在来型石油資源*2なのか、あるいはバイオマスエネルギーのような再生可能エネルギー*3なのかはわかりませんが、国際社会の中で、日本などの先進国だけでなく、発展途上国を含めた持続的発展を考えると、どのようなエネルギー・技術の開発に取り組むべきかが非常に重要です。当社もコアビジネス周辺のGTL(Gas to Liquids)をはじめ、バイオ燃料などの研究開発へ取り組みを開始しています。
田浦氏:
温暖化による深刻な影響を回避するには産業革命以降の温度上昇を2度未満に抑える必要があるという国際的なコンセンサスが広まりつつあります。そのためには2020年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を削減の方向に向かわせ、2030年頃には約40~50%の削減を達成しないといけません。2030年はそう遠い未来ではありませんから、日本は相当努力が必要です。
エネルギーに関して一番重要な問題は、この目標をどう達成するかということだと思います。私たちは自然エネルギーを伸ばすべきだと考えており、三菱重工も自然エネルギーをもっと重視してもいいと思います。
現在は、企業や社会が、経済効率を重視するあまり、社会的コストや環境コスト*4が考慮されていません。適正な社会的コストや環境コストを反映させながら、3Eのバランスと内容を常に検討していく必要があります。その意味で、この3E展開のビジョンを、もっと具体的に三菱重工の事業経営に反映してほしいと思います。
足立氏:
三菱重工は、中国などアジアの取り組みへの協力を強調されています。確かにそれも重要ですが、やはり一人当たり温室効果ガス排出量を考えた場合に、日本を含めた先進国は排出しすぎで、自ら大幅に排出削減をしていくことが必要です。しかし、実際は、日本は1990年から7.4%も排出が増えています。政策措置の強化が急務なのです。また、企業の方からは、環境に良くても売れないという悩みをよく聞きます。それでは企業だけの力で売れるようにできるかといえば、そうではありません。環境コストが市場メカニズムに適正に反映されていないからです。そのために、エネルギー税財政改革、環境税の導入が非常に重要です。経済・雇用を活性化しながらCO2を減らしていくために有効雇用を活性化しながらCO2を減らしていくために有効な政策としてヨーロッパで実現されてきました。しかし、日本では、環境省・経済産業省など省庁が縦割りのため、検討がなかなか進まず、経済界も反対ばかりしている。イギリスで環境税の実現をリードしたのは、日本の経団連のトップのような、産業界のリーダーです。三菱重工には、広い視点から産業界を引っ張っていただくことをお願いしたい。また、三菱重工は、アジアの原子力発電所への参画もうたっていますが、核拡散、テロの対象になりかねないなどの観点から、自然エネルギーを推進していくほうがリスクが少ないと思います。
北川氏:
エネルギー問題、環境問題を考えるときに、科学的合理性と社会的合理性が必要です。地球全体の安心・安全な持続可能性については、まだまだ社会的合理性が確立していない、つまり皆が納得して受け入れられる状況になっていません。ですから、エネルギーと環境の技術に関して重要な位置を占める三菱重工が、ぜひ持続可能なビジネスモデルや成功事例をつくり、同時に3E展開のビジョンを実現させるために、社会的合理性の確立への活動にも率先して取り組んでいってほしいと思います。
辰巳氏:
最近は、エコプロダクツへの関心がずいぶん高まっています。これまでは製品には自分が使う時点で省エネであることなどの配慮がなされていればいいと考えられていたのですが、最近では消費者も製造するときのエネルギーはどうなっているのか、資源調達時の持続可能性はどうなっているのかなど広く製品の環境配慮を考えるようになってきました。ものづくりという点では「エネルギー」は、「環境」という視点でもう一体となっています。そういう意味で、三菱重工には、エネルギーを生み出す施設や設備をつくる立場からのものづくりプロセスへの関与、つまり、例えば風力発電や太陽光発電など、どんなエネルギー関連の施設や設備を顧客企業へ提供し、それによってどれだけ負荷削減ができるといった環境情報の公開を期待します。
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| 足立治郎氏 特定非営利活動法人 「環境・持続社会」研究センター 事務局長 |
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| 大澤伸行氏 新日本石油株式会社 研究開発本部 開発部長 |
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| 北川正恭氏 早稲田大学大学院 公共経営研究科 教授 |
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| 田浦健朗氏 特定非営利活動法人 気候ネットワーク 事務局長 |
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| 辰巳菊子氏 社団法人 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント 協会理事 |
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| 古屋孝明氏 三菱重工業株式会社 技術本部 技術企画部 技術戦略グループ長 |
~三菱重工のエネルギー・環境分野への取り組みの考え方~
『21世紀における持続的社会の実現に向けた3E展開』
地球環境問題は、温暖化ガス削減という単一の取り組みでは本質的解決が難しく、国内地域間または多国間での持続的経済発展を基軸に、環境と表裏一体にあるエネルギー安定供給を組み合わせた3E(エネルギー安全保障=Energy Security、環境保全=Environmental Protection、経済効率・持続的経済発展=Economic Efficiency & Sustainable Economic Growth)を同時に実現する社会システムの構築とエネルギー環境技術の普及による3E展開が解決の鍵となります。
エネルギー消費が急増するアジアでは、日本のエネルギーの多様化や高効率利用、環境保全・修復・創造の技術の普及が求められています。また国内では自然エネルギーを活用した循環型社会構築による地域活性化が進んでいます。
当社は、これらの持続的社会の実現に向けた3E展開を、当社の果たすべき役割と考え、3E展開に貢献可能なエネルギー・環境技術の開発とその実用化に取り組みます。
*1 ステークホルダー
Stakeholder(企業を取り巻くあらゆる利害関係者)
*2 非在来型石油資源
すでに利用・商業化されている石油、天然ガスなどの在来型石油資源に対し、超重質油、オイルサンド、およびオイルシェールなどのこれまで開発利用されていない石油資源を非在来型石油資源と分類する。
*3 再生可能エネルギー
地球上の自然の力を繰り返し利用するもので、風力、太陽光、地熱、バイオマスなどがある。
*4 環境コスト
企業の経済活動によって地球環境に与える負荷を、金銭価値で見積もったもの。







