持続可能な社会実現のために三菱重工の果たす役割(2005年3月9日開催) page1

三菱重工は、昨年、従来の「環境報告書」をCSRに対応した「社会・環境報告書」に改め、CSRを経営の基軸とすることをトップコミットメントとして表明。常に社会に顔を向け、さらに時代のニーズにマッチした経営を実践する活動の一環として、各界でご活躍中の方々から、2004 社会・環境報告書をもとに忌憚のないご意見をいただきました。
三菱重工としての長期的な社会ビジョンを描いてほしい
河口(カワグチ):
2004 社会・環境報告書では、三菱重工の考え方が4つの項目に分けて出されていますが、いずれも2、3年先の短期的な事業計画をまとめたという感じがします。例えば100年後、「こんな交通システムにつくり変えていくんだ」というビジョンを見せてほしい。様々な取り組みをされていることはわかりますが、それらをパッチワークのように、並べて見せるだけでなく、優先順位となぜそれらに取り組むのかという戦略が必要。環境に関しても、もう一歩進んだ価値をつくっていく底力をお持ちだと思うので、環境汚染処理技術をアピールするだけでなく、長期戦略に基づいたビジョンを出せば非常にすっきりします。防衛や原子力など意見が分かれる部分はCSR報告書に書かないと、逆に印象が悪くなります。しかし最初にビジョンを掲げれば、こうした微妙なテーマについても書きやすくなる気がします。方法論に賛否があっても、会社としてはよりよい解決に向かうために努力していることを提示できればとても意味がある。ここでしっかりと長期的な設計図を描いていってほしいと思います。
金子:
実際、ビジョンをつくるというのは大変難しいと思います。特にエネルギーについては、大型集中型でいくのか、分散型に移行するのか、今は議論が分かれていて、社会全体が模索している。三菱重工の場合、最先端の技術を知っている人たちが、ここまではこんな将来展望を持っている、その先はちょっとまだ我々にはわからないというような、ある程度正直に示してくれればいいのではないでしょうか。原子力をはじめとして、ヘビーインダストリーは社会的に評価が分かれるものが多いですし、国の責任という問題もありますが、日本と世界のビジネスリーダーとして積極的にCSRを重視して先進性をアピールしていくことが大切でしょう。理想的な社会を今すぐ出してくれといっても無理だと思いますが、三菱重工が今描けるビジョンを少しでも出してほしいと思います。
飯田:
ビジョンを示すことは難しいことですが、それが正しいか正しくないかではなくて、将来をどのように見ているのかを出せるか出せないかに、その会社の力量や品格が表れます。例えばシェルは将来の3つのシナリオというのを出しています。社会はいろんな方向に変わり得るし、不確実性もあるが、その中で三菱重工は将来どの方向に進んでいくのかという展望をビジョンとして打ち出す方法もあります。また、それを探ることが、自分自身の活動を見直す、あるいは新しい価値をつくっていくということにつながります。
そしてもうひとつ、報告書の中には、社会で今起きていることへのメッセージを入れてほしい。関西電力美浜原子力発電所の事故でも、原子力保安院とか国が前面に出ていますが、三菱重工もいろんな意味で関わっているわけです。また、核燃料サイクルに関しても、単に三菱重工の考えというだけでなく、ステークホルダーの意見を踏まえての内容も盛り込んでほしいと思います。
日比:
例えば環境影響の分析にしても、非常に直接的なアウトプットしか捉えられていないと思います。例えば自動車会社では、車の燃費など、当然LCA(注釈1)的な考え方で製品が顧客に渡った後での環境影響を捉えています。三菱重工さんでいえば、例えば船舶の燃料による温暖化への影響や、バラストウォーターが生物多様性に与える影響といった深刻な問題もありますので、そのような視点で顧客の先にある問題を見ていただきたい。もう少し広い世界、社会まで見ていただければ、ビジョンも自ずと出てくる土壌になると思います。
注釈1) LCA…Life Cycle Assessment
製品が、製造、使用、廃棄、再利用されるまでのすべての段階で、環境にどんな影響を与えるのかを評価する方法のこと。LCAの考えに立った、環境に配慮した製品づくりが社会的主流となっている。
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| 飯田哲也氏 特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所 所長 |
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| 金子憲治氏 日経エコロジー副編集長 |
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| 河口真理子氏 大和総研経営戦略研究所 主任研究員 |
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| 高巌氏 麗澤(レイタク)大学 国際経済学部教授 |
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| 高橋陽子氏 社団法人日本フィランソロピー協会 理事長 |
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| 龍井葉二氏 日本労働組合総連合会(連合) 総合政策局長 |
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| 日比保史氏 コンサベーションインターナショナル 日本プログラム代表 |








