次世代への架け橋

三菱重工の製品・技術を活用した理科教育で
“ものづくり”の楽しさを伝えています
3ヵ年の成果を踏まえて新たなロードマップの策定を推進
三菱重工は、科学技術で地球社会に貢献できる人材を育てていくことが“ものづくり”企業としての社会的責任の一つであると考え、2008年に「学校の理科教育支援3ヵ年計画」を策定しました。以来、全国の事業所で、科学技術の魅力を子どもたちに伝え、ものづくりへの興味・関心を高める次世代支援活動として「理科教室」や「ものづくり学習」を展開。2010年度は、各事業所の周辺にある小学校などの児童・生徒約2,300名を対象に三菱重工の製品・技術を活用した「理科教室」や「ものづくり学習」を計34回開催しました。
三菱重工では、今後も次世代育成の支援をCSR活動の重点取り組みの一つとして位置付け続けることを決定しており、現在、理科教育支援の新たなロードマップづくりを進めています。
- 2008年 計画的な活動を開始
三菱重工のコミュニケーションロボット「wakamaru」などを活用した理科教育を実施。学校側のニーズを把握し、理科教育実施にあたってノウハウを蓄積。 - 2009年 参加者数全国で2,793名
各事業所で自所の製品・技術を活用した教材・プログラムを作成し、理科教育を実施。年間参加者数は前年度の約1.5倍にあたる2,793名に。 - 2010年 改善を図りながら継続実施
前年度の成果を踏まえて、各事業所で運営方法や教材・プログラムの改善に取り組み、自所の製品・技術を活用した理科教育を継続実施。 - 2011年~ 新たな3ヵ年計画を策定
次世代支援をCSR活動の重点項目として位置付け、NPOとの連携強化や、海外での活動の実施などを柱とする新たな3ヵ年計画の策定を推進。
ものづくり企業の責務として「理科離れ」問題の解決に取り組む
近年、学校教育の現場では、子どもたちの“理科離れ”が進んでいるといわれています。国際的な学力調査でも、日本の子どもたちの科学・技術に対する興味・関心の度合いは総じて先進国の平均値を下回っています。そうした傾向の背景には、子どもたちの自然体験やものづくり体験の減少、小学校の先生の“理科離れ”などがある、と指摘されています。そんな中、三菱重工では、科学技術を競争力の源泉とする我が国の将来を見据え、“ものづくり”企業としてこの問題の解決に貢献したいと考えてきました。
そこで、2008年4月、「学校の理科教育支援3ヵ年計画」を策定し、子どもたちに理科の面白さや科学技術の素晴らしさを伝える次世代支援活動として理科教育を開始しました。以来、全国の事業所から従業員が近隣の小学校などに出向いて行う「理科教室」や、近隣の児童・生徒たちを事業所に招いて工場見学やものづくりの体験授業を行う「ものづくり学習」を開催しています。
| 科学の新知識取得が楽しい | 科学トピックスを学ぶのが楽しい | 科学の学習に興味がある | 科学に関する読書が好きだ | 科学の問題に挑戦するのが楽しい | |
|---|---|---|---|---|---|
| OECD平均 | 67人 | 63人 | 63人 | 50人 | 43人 |
| 日本 | 58人 | 51人 | 50人 | 36人 | 29人 |
全国の各事業所が、その特徴を活かした理科教育を継続的に開催
初年度の2008年度は、全13事業所において三菱重工が開発したコミュニケーションロボット「wakamaru」を活用した「理科教室」を近隣の小中学校で実施しました。また次年度の2009年度には、子どもたちにいっそう興味をもってもらえるプログラムとするために運営方法や教材・プログラムを改善し、ロケット、船舶、空調機、フォークリフトなど、各事業所ごとに特徴ある製品やそれをつくるための技術を題材とした理科教育を企画・実施しました。
3ヵ年計画の最終年度となった2010年度は、子どもたちへの科学教育活動を展開しているNPO法人などと連携して教材・プログラムをさらにブラッシュアップし、引き続き各事業所の製品・技術を活用した理科教育を計34回、約2,300名の児童・生徒に実施。この結果、3ヵ年を通じて全国事業所で延べ6,954名の児童・生徒に、理科の面白さとものづくりに触れる学習機会を提供しました。
また、こうした理科教育支援活動には、各事業所の社員も意欲的に参加しており、地域の子どもたちの育成に関わる体験が社員のモチベーション向上にもつながっているほか、事業所周辺地域のイベントとして定着している事例もあるなど、さまざまな効果が上がっています。

「wakamaru」を活用した理科教室

「魚ロボット」の遊泳実験

人工衛星の姿勢制御原理を紹介する実験

| 年度 | 2008年度 | 2007年度 | 2010年度 |
|---|---|---|---|
| 1,809人 | 4,602人 | 6,954人 |
| 開催事業(本)部・ 事業所 | 対象 | 参加人数 | 内容・テーマ |
|---|---|---|---|
| 交通・先端機器事業部 | 三原市立中之町小学校 | 53名 | モーター・ブレーキの仕組み、空気の力 |
| 機械事業部/MHIソリューションテクノロジーズ | 広島市立南観音小学校 | 147名 | 魚ロボットを用いた授業 |
| 機械事業部 | 広島市立南観音小学校 | 136名 | タービン・コンプレッサの仕組み |
| 下関造船所 | 山口県下関市立江浦小学校 | 70名 | 船が動く仕組み |
| 神戸造船所/交通・先端機器事業部神戸地区 | 兵庫県丹波市立神楽小学校 | 80名 | 「wakamaru」を使った理科教室 |
| 横浜製作所 | 横浜市立本牧南小学校 | 63名 | かざぐるまの工作 風力発電の仕組み、風の力 |
| 横浜製作所 | 横浜市立並木中央小学校 | 79名 | 風車実証機の見学、模型による風力発電実験 |
| 名古屋誘導推進システム製作所 | 秋田県大館市・愛知県小牧市内各小学校(15校)ほか | 1,622名 | ロケットと人工衛星 |
| 本社 | 高知県いの町立伊野南小学校 | 102名 | 「wakamaru」を使った理科教室 |
| 合計 | 34回 | 2,352名 |
ウェブサイト:各事業所の活動の内容をウェブサイトに掲載しています。
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学校の先生方やNPOの方々の声を新たな計画の策定に反映
理科教育支援活動の企画にあたっては、参加する子どもたちに関心や理解を深めてもらえる内容とするために、学校の先生やNPO法人の方々などから実施内容について広くご意見を伺う機会を設けています。
例えば、2011年2月16日~17日の2日間、機械事業部(現 広島製作所)では、広島市立南観音小学校の4年生136名を招き、同事業部の主力製品であるコンプレッサを教材に空気がもつ力を学ぶ「ものづくり学習」を開催。終了後、同小学校教頭の須賀卓也先生、理科教育の専門家として開催にご協力いただいたNPO法人子ども・宇宙・未来の会の皆さまに参加いただき、意見交換会を実施しました。この意見交換会に参加していただいた南観音小学校教頭の須賀卓也先生からは、「もともと理科の実験などが好きな子どもは多い。しかし、何のために実験をするのかしっかりと伝えないと、子どもたちの興味はだんだんと離れていく」と、理科授業の難しさをご教示いただきました。また、三菱重工の理科教育支援活動について、「社会で実際にものづくりをしている方たちが来て、学校で勉強していることが“こんなふうに世の中に役立っている”と気付かせてくれることはとても価値がある」「設計者、技術者、デザイナーなどいろいろな人たちが力を合わせて初めて製品が完成するということを学ぶこともでき、キャリア教育にもつながっている」との評価をいただきました。
また、NPO法人子ども・宇宙・未来の会(KU-MA)の遠藤純夫理事からは、「『このような現象が起こるのはなぜだろう?』と問いかけから始めると、子どもの好奇心に火がつく」とプログラムづくりの考え方をご教示いただくとともに、「三菱重工の製品には、大きいものや重いもの、優れた性能をもつものが多いので、子どもの『なぜ?』の原体験につながりやすい」「子どもの生活に身近なことと“先端技術”をつないで見せてほしい」といったご意見を頂戴しました。
こうしたご教示・ご意見を受けて、機械事業部の担当者から「子どもたちの育成に貢献していくためには、長く継続していくことが大切」「先生方やKU-MAの皆さまのご意見を伺って内容を充実させ、地域の活動として定着させていきたい」という考えを述べました。こうして、学校、NPO、企業それぞれの専門性を活かしながら今後も子どもたちの育成に協力・連携して取り組んでいくことを全員で確認し合いました。

機械事業部での意見交換会
意見交換会出席者 (注)役職は2010年度時点のものです
左:広島市立南観音小学校 教頭 須賀 卓也先生
中:NPO法人子ども・宇宙・未来の会 理事 遠藤 純夫様
右:NPO法人子ども・宇宙・未来の会 田口 裕一様
左:機械事業部 総務部 総務課長 永松 祐二郎
中:機械事業部 総務部 総務課 主席チーム統括 檜原 宏行
右:CSR推進室 室長代理 飯田 敬一
さらなる拡充へ、新たなロードマップを策定
三菱重工では、こうした各事業所での活動内容や、ステークホルダーとの対話で頂戴した意見など、この3ヵ年の活動成果を活かして、現在、理科教育支援の新たなロードマップの策定を進めています。このロードマップには、NPOなど社外の専門家との連携強化や、事業展開のグローバル化を踏まえた海外拠点での理科教室の開催などを今後の活動計画として盛り込む予定です。
三菱重工では今後も、理科教育支援活動のさらなる拡充を図り、CSR活動の重点項目として掲げている次世代育成の支援に取り組んでいきます。
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