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地球との絆

地球との絆 緑あふれる地球を環境技術と環境意識で守ります。

省エネルギーの技術・アイデアを満載した「エコシップ」で
海上輸送のCO2排出量を大幅に削減します

経済のグローバル化が進展し海上輸送量が拡大、CO2排出量も増加

船舶は、大量の天然資源や工業製品などを一挙に運べることから「エネルギー効率が高く、CO2排出量が少ない輸送手段」として高く評価されてきました。しかし経済のグローバル化、新興国の輸出入拡大などが進み、海上輸送量によるCO2排出量は過去30年間で倍増しています。こうした中、国際海事機関(IMO)では現在CO2排出抑制に向けた新たな条約づくりが進められており、造船会社には従来以上にCO2排出量が少ない船舶の開発が求められています。三菱重工は、この要請に応えるため、100年以上にわたって培ってきた船づくりの経験と技術を結集し、CO2排出をはじめ各種環境負荷を低減する「エコシップ」を開発。温暖化などの地球環境問題の解決に貢献していきます。

世界の海上輸送量とCO2排出量

グラフ:世界の海上輸送量とCO2排出量
年度 1990年度 1995年度 2000年度 2005年度
輸送量 4,173百万t 4,827百万t 5,910百万t 7,267百万t
CO2排出量 354.77百万t-CO2 408.72百万t-CO2 468.61百万t-CO2 522.28百万t-CO2
年度 2006年度 2007年度 2008年度  
輸送量 7,643百万t 7,954百万t 8,150百万t  
CO2排出量 556.62百万t-CO2 589.09百万t-CO2 578.20百万t-CO2  

出所:国際エネルギー機関『CO2 Emissions from Fuel Combustion Highlights(2010 Edition)』
/Clarkson Research Services社『Autumn 2010 Shipping Review Database』
(注1)AURIGA LEADERに適用されているいくつかの環境技術は、日本郵船株式会社との共同プロジェクトにより開発されています

輸送時のCO2排出量を35パーセント削減する三菱重工のエコシップ「MALS-14000CS」

三菱重工は、2010年10月にNew Panamax型(注2)コンテナ船「MALS-14000CS」の概念設計を完了しました。これは、コンテナ1個あたりのCO2排出量を35パーセント削減できる「エコシップ」です。

(注2)New Panamax型:2014年に拡張工事が終了する予定のパナマ運河を通過できる最大規模の船型のこと。長さ366.0メートル、幅48.8メートル、喫水15.2メートル

イラスト:エコシップ「MALS-14000CS」

エコシップ「MALS-14000CS」のCO2排出量削減率

グラフ:エコシップ「MALS-14000CS」のCO2排出量削減率
  • このグラフは、コンテナ(20フィートコンテナ)1個当たりのCO2排出量の比較
  • グラフの「100(%)」という値は、同クラスの船の標準的な値として三菱重工が独自に計算したもの

最新の省エネルギー技術と斬新なアイデアでCO2排出を抑制

1 空気潤滑システムでCO2削減率10パーセント

水の抵抗を減らす

船体と海水の摩擦抵抗を減らせば、燃料の消費が減り、CO2排出量も削減できます。そこで、送風機で船底から海中に空気を吹き出し、泡で船を覆うことによって摩擦抵抗を低減する「空気潤滑システムMALS(Mitsubishi Air LubricationSystem)」を開発。空気吹出口の位置・形状や空気量の制御などに工夫を凝らして潤滑効果を高め、コンテナ1個あたりのCO2排出量を10パーセント削減できるようにしました。
この「空気潤滑システム」は、すでに重量物運搬船への搭載実績があり、高いCO2削減効果が実証されています。

イラスト:エコシップ「MALS-14000CS」

船体と海水の間に空気の層をつくることで、船体の摩擦抵抗を減少させる

2 高性能船型+最適配置でCO2削減率24パーセント

推進力を無駄にせず積載効率を高める

船型(船の水面下の形状)は、船の速度、長さ・幅、荷物の重さによる沈み具合などに合わせて最適化せねばなりません。「MALS-14000CS」でも、推進装置から得られる力をできるだけ無駄にしない船型を何度もシミュレートして最適化を図り、高性能船型を実現しています。
さらに、推進装置には、新型の2機2軸推進装置を採用しました。2機2軸とは、2台の主機関と2つのスクリューをもつ構造。新型推進装置の開発では、従来型の1機1軸推進装置に比べて、プロペラ効率を改善し、かつ、従来レベルの抵抗を維持することで推進力を向上させています。
また、積載効率を高めて1度の航海で運べるコンテナの数を増やせば、1個あたりのCO2排出量を削減できます。「MALS-14000CS」では、2つのアイデアでコンテナ積載効率を高めています。
1つめは、煙突を船尾に移動させ、煙突とこれを囲む構造物の占有スペースを無くすというアイデア。これによって、機関室の上にもコンテナを積載できるようにしました。2つめは、ブリッジ(船舶の操舵室)を船首のほうに移動させるというアイデア。従来型のコンテナ船では、視界を確保するためにブリッジ前方のコンテナ積載に制限がありましたが、本船のブリッジ配置なら、甲板上のスペースが有効に活用でき、コンテナ積載数が増加しました。さらに、居住区の下にもコンテナを積載できる設計としています。
以上のような高性能船型と構造物の最適配置によって、コンテナ1個あたりのCO2排出量を24パーセント削減できます。

イラスト:船尾に移動させた煙突
船尾に移動させた煙突
イラスト:居住区の下にも搭載されるコンテナ
居住区の下にも搭載されるコンテナ
3 推進プラントでCO2削減率5パーセント

廃熱も利用する

「MALS-14000CS」の推進プラントでは、「電子制御主機関」と「廃熱回収装置」を導入しています。従来の機械制御式に替わる「電子制御主機関」は、燃料噴射の量、タイミングなどの制御を電子式にしたもので、燃費を向上させます。「廃熱回収装置」は船舶・海洋事業本部と原動機事業本部が協力して開発したもの。主機関で発生する余分な熱を回収し、発電に有効利用します。
これら推進プラントの工夫によって、コンテナ1個あたりのCO2排出量を5パーセント削減することを可能にしています。

さまざまな技術を開発・採用して船舶の環境負荷を低減しています

風の抵抗を減らす
ブリッジ(操舵室)前方に「船首ウインドスクリーン」を設けると、風の抵抗が減り、燃費が向上します。
その形状は、操舵室からの視界を妨げないものとしています。

写真:ブリッジ前方の船首ウインドスクリーン

自然エネルギーを利用する
航海中に太陽光発電システムで発電した電力を二次電池に蓄電しておき、停泊中に使用することで、船内発電機を停止させることが可能となるような仕組みを開発しています。これによって、省エネルギーと、CO2削減を実現します。

写真:船に搭載した太陽光発電システム

海洋の生態系を守る
貨物船は、荷降ろしして空荷になった港で安全性を高めるためにタンクに海水(バラスト水)を取り入れ、積荷をする港で排出します。特に国際航路では、海水とともに外来のプランクトンや菌類が排出され、その海域の生態系に影響を及ぼしかねません。
そこで三菱重工は、海洋の生物多様性を守るために、株式会社日立プラントテクノロジーと「バラスト水浄化システム」を共同開発しました。これは、取水時に磁石の力で微生物などを吸着し、根こそぎ除去する凝集磁気分離方式を適用したもの。殺菌剤を使わないので、残留薬品による海域汚染の心配もありません。

プランクトン、菌類などを除去する仕組み

イラスト:海水からプランクトン、菌類などを除去する仕組み

1世紀以上にわたって受け継がれてきた造船技術で長期安全運航を支えます

写真:巨大なクレーンによるエンジンの設置
巨大なクレーンによるエンジンの設置

船を長期間、安全に運航させるには、製造品質が問われます。三菱重工が建造する船には、全長300メートル、幅40メートルを超えるものもあり、量産品ではないため形が1隻ずつ異なります。こうした船を建造するには、厚さが6センチ以上にもなる鋼板を高い精度で加工する技術、1,500トンを超える巨大なエンジンを100分の1ミリ単位で正確に据え付ける技術が必要です。
三菱重工は、このような技術を1世紀以上にわたって蓄積し、伝承し、発展させてきました。こうして船舶の長期安全運航を支えることは、船舶を長寿命化すること、ひいては資源の無駄遣いを避けることでもあります。

私たちの責任と行動

写真:雲石隆司

三菱重工の総合力でエコシップを進化させ続け、
お客さまや社会に貢献していきたい。

船舶・海洋事業本部
船海技術総括部
雲石 隆司

「エコシップ」プロジェクトの責任者として注力したのは、推進装置の燃費改善とコンテナの積載効率アップです。これらによってCO2排出量を削減しましたが、SOx、NOxの排出量削減など、さまざまな面で環境性能を高めていきたいと考えています。「エコシップ」は、まだ完成形ではないのです。
これからもエンジンや廃熱回収、電気系統など多彩な専門技術をもつ三菱重工の総合力でエコシップを進化させ続け、お客さまや社会の要請に応えていきます。

三菱重工に期待すること

写真:アレクサンダー・マレスカ氏

枠にとらわれず、イノベーションに
挑戦してくれることを期待しています。

ウィルヘルムセン マリンコンサルタンツ社
三菱重工長崎造船所駐在 首席監督
アレクサンダー・マレスカ氏

2004年から三菱重工長崎造船所で建造監督を務めています。現在は、車両やトレーラーなどが自走して船内に乗り込み、貨物の積み降ろしを行う貨物船(RORO船)4隻を建造するプロジェクトに取り組んでおり、2011年3月に最初の1隻(船名“TØNSBERG”)が完成しました。
世界最大級のRORO船“TØNSBERG”をつくり上げるまでにはさまざまな困難がありましたが、三菱重工の皆さんが現場の問題を適切に理解し、培ってきた技術を活かして柔軟に対処してくれたおかげで、この大型で複雑な船を無事完成させることができました。このことは、三菱重工が複雑で高度な技術を要する船を建造できる最高の企業である証と実感しています。
三菱重工の皆さんに、もし要望することがあるなら、それは従来の枠にとらわれることなく、常にイノベーションに挑戦してほしい、ということです。三菱重工はそれが可能な会社だと期待しています。

三菱重工がつくる多彩な船舶
1857年(安政4年)、長崎で日本初の艦船修理工場として操業を開始。以来、客船、貨物船、調査船など約5,300隻の船舶を建造しています。

写真:客船
客船
写真:LNG船
LNG船
写真:地球深部探査船
地球深部探査船

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