第三者意見・ご意見をいただいて
第三者意見

早稲田大学大学院 公共経営研究科 教授
北川 正恭氏
昨年ISO26000が発行され、さらに国際統合報告委員会の創設が発表され、企業の財務報告に非財務情報を統合する枠組みづくりが始まる等、この一年間CSRの考え方に大きな変化が起こっています。地球全体を持続可能なものにする為に、グローバル時代に世界に通用する共通の価値観を表すものとしてCSRをバージョンアップさせ、企業の経済的価値だけでなく社会的価値を充実させようとする動きです。今回の東日本大震災は地震、津波、原発事故が重なり、地域社会とエネルギー政策の持続可能性が根本から問われる大災害となり、ものづくり大国日本の信頼が大きく傷つきました。今こそCSRを企業の経営事項とするだけでなく、国や地域の持続可能性に目を向けた国をあげての根本的な活動に高めて、日本全体の信頼を取り戻さなければなりません。
三菱重工グループとして復興を支援していることを、謙虚に報告していることは好感が持てますが、一方で国難とも言える大震災に対して、企業の決意をトップコミットメントして、世界、日本全体の持続可能性に積極的に貢献していくという攻めのレポートを前面に出された方が良かったのではないでしょうか。今後は日本のリーディングカンパニーとして国全体の持続可能性を牽引するようなCSRレポートを期待します。
年々、社会性報告のウエートが高まっており、企業本体だけでなくステークホルダーとの協働によるCSR活動が活発になり、行動指針の3つのテーマが相互に連携して具体的な成果を挙げ始めていることがよくわかる内容になっており、CSR活動の本格的な浸透と広がりが感じられ充実した内容になっています。
本年も「事故展示資料室」の取り組みが紹介されています。自社の製品事故事例を展示し社員教育に活用することは勇気のいることですが、従業員に対して会社の「精神を示す場」にもなっており、従業員と共に歩もうとする誠実なCSR活動に感心しました。

シンクタンク・ソフィアバンク 副代表
藤沢 久美氏
CSRという言葉で表現されるようになって久しい「企業の社会的貢献」とは何か。それは、企業の存在意義そのものを問うているように思う。いろんな定義があるだろうが、こうして大震災を経て改めて思うのは、「企業は社会の創造者である」ことだ。震災において、耐震建築の価値や様々なインフラの強靭さを確認し、同時に、速やかな復旧を支えた企業の存在感も確認した。三菱重工も、震災直後に人を現地に送り、インフラの復旧に尽力されたとレポートに記されている。
この震災は、我々に改めて、企業の役割を教えてくれたように思う。企業は、本業においてどこまでも腕を磨き、技術を高め、新たな創造を実現して行くことで、社会をより安全で、安心できるものへと変えていく存在だ。そして、その根幹を支えるのが従業員であり、それぞれが、社会の創造者である思いを持っているかどうかが、企業の社会貢献の原点といえるだろう。
今年のレポートでは、現場を支える従業員の声がふんだんに取り入れられ、日々の仕事の現場での思いを知ることができ、同社の社会に対する責任を、より説得力のあるものとして伝えてくれている。
その意味では、エコシップの開発のような、本業そのものに込められている社会的意義を、もっと紹介していただきたい。経済的効率性と安全性の高さのみならず、地球に生きる生物すべてと共存するための船を造るという挑戦は、社会への貢献以外の何物でもない。多岐にわたる本業に、当たり前のように存在する社会的意義を、今改めて、言葉にしていただきたい。
そして、さらに、今回の震災でもその活躍が注目された、NPOやNGO等の市民との協働も進めていただければと思う。企業が生み出した経済的価値、技術等の知恵やネットワークを、今度は毛細血管のように社会の隅々にまで広げてくれる市民活動家たちと、世界各地で協働し、事業では進出できない不採算の地域も含めて、地域の安全と安心に貢献していただくことを期待したい。
ご意見をいただいて

CSR担当役員
取締役副社長
執行役員
宮永 俊一
三菱重工は「社業を通じて社会の進歩に貢献する」という社是のもと、社会インフラを支える製品・技術の提供を通じて人と地球の未来に貢献しております。
本報告書では毎年、三菱重工の「ものづくり企業」としての使命の一端について紹介しておりますが、本年は昨年いただきましたご意見をふまえ、外部ステークホルダーの三菱重工に対する期待の声や、CSRの担い手である社員の現場を支える志など、従来以上に具体的なエピソードを交えながら、顔が見えるわかりやすい報告を心がけました。
今年度は、北川、藤沢両氏から、東日本大震災復興へ向けた三菱重工グループの本業を通じた貢献について高い評価をいただきました。
三菱重工グループのCSR活動に関しては、着実に成果が上がりつつあると手応えを感じていますが、社会からより信頼されるリーディングカンパニーを目指し、今後は、北川氏のアドバイスをふまえ、日本の早期復興はもちろん地球社会の持続可能性にも貢献する姿の積極的な情報発信や、藤沢氏からご指摘のありました、社会的課題の貢献に向けより多様なステークホルダーとの協働の取り組みについても検討してまいります。
貴重なご意見を励みに、これからも地球社会に貢献する「ものづくり企業」としての使命を果たし続けてまいります。

