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放射線と生活

放射線の単位の話―1「ベクレル」

虫歯ができて歯医者さんへ行くと、治療の前にX線撮影をします。X線をあてても、放射線を出す物質が歯に付着することはなく、放射線は歯を通過するだけです。このように放射線には物質を通過する性質があることは比較的良く知られていますが、放射能や放射線という用語は必ずしも正しく使われていないようです。

放射線の正体は、不安定な性質を持った元素が安定しようとして、原子核を崩壊させて別の元素に変わるとき放出する粒子線または電磁波です。この放射線を出す能力を「放射能」といい、放射能を持っている物質を「放射性物質」といいます。

放射線の研究は、1895年にドイツのレントゲン教授が未知の線を発見しX線と名づけたことに始まり、フランスの物理学者アンリ・ベクレルはウランからベクレル線と名づけた放射線が出ていることを発見。このベクレル線の正体を知ろうとしてキュリー夫妻の放射性物質ラジウム発見に続いた話は有名ですが、いずれも19世紀末の話です。

現代社会では、放射線はX線検査やがん治療といった医療分野だけでなく、空港の手荷物検査、農作物の品種改良、半導体の加工装置など幅広い分野で利用されており、日本での経済規模はおよそ9兆円に達しているとの試算もあります。放射線に関する単位はいくつかありますが、放射能の量はベクレル(Bq)という単位で表しています。この単位は、フランスの物理学者ベクレルにちなんだもので、原子核の崩壊が1秒間に1個起きている量を1ベクレルと定義しています。大変微量なものを1単位としているので、自然界の放射能量を説明する場合でも大きな値になりがちです。
たとえば、人間も食物の摂取で放射性物質を体内に蓄えていますので放射能を持っています。体重60kgの大人の場合、体内の放射能の量は約7,000ベクレルになるそうです。

先般、中越沖地震の際、東京電力柏崎刈羽原子力発電所から約9万ベクレルの放射性物質を含んだ水(1.2t)が海水に放出されたとの報道があり、大量の放射能が出たと驚いた人も多かったかもしれません。9万ベクレルは多いようですが、ラドン温泉の温泉水約9リットル程度の放射能の量で人体に影響のない微量です。

放射線に関する単位は一般の人にはなじみが薄いので、情報の発表に当たっては、どの程度の話なのかをわかりやすく説明することが大切ですね。

体内の自然放射性物質


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