事故の国際評価尺度(INES)
出発した飛行機の計器に異常がみつかり、元の飛行場に引き返しました。さて、これは航空事故になるのでしょうか。
飛行機の場合は航空法で、航空事故について「航空機の墜落、衝突、火災」、(中略)、「航行中の航空機の損傷」などと定義しており、冒頭の例も無事着陸すれば事故にはなりません。飛行機は量産品なので、設計上の欠陥が原因で事故が起きると、同型機でも事故が起きる可能性があります。そのため、事故原因の究明は中立な第三者が速やかに行い、調査報告書を公表する仕組みができています。
原子力の場合、トラブルや故障は世界各国で起こりますが、航空事故とは違って、内容が専門的なため、トラブルがどの程度のものなのか、一般の人には判りにくいという悩みが各国共ありました。このため、世界共通のものさしを作ろうと国際原子力機関(IAEA)と経済協力開発機構の原子力機関(OECD/NEA)が呼びかけ、「原子力施設等の事故・故障等に係る事象の国際原子力事象評価尺度(International Nuclear Event Scale: INES イネス)を1992年に提案。世界各国で使うようになりました。
この基準では、放射性物質を取り扱う施設のトラブルを、「所外への影響」「所内への影響」「深層防護の劣化」の3つの基準から評価し、レベル0から7までの8段階に区分しています。数字が大きいほど深刻で、レベル4より大きいものを事故(Accident)、レベル1から3までを異常な事象(Incident)、レベル0を尺度以下(Deviation)と呼び、わが国では更に独自に0+(プラス)と0-(マイナス)を設けています。

わが国の場合、トラブルが発生すると監督官庁(経済産業省又は文部科学省)が暫定で事故のレベルを決めて、プレス時に発表しています。正式な事故レベルは、追ってきめられますが、暫定でもレベル2以上の原子力施設のトラブルは24時間以内にIAEAに連絡が行われ、IAEAから世界各国に連絡される仕組みになっています。



