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Chapter 7 左右対称でない飛行機

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■飛行機はみんな左右対称?
 飛行機に限らず、人間が作った乗り物は、ほとんどが左右対称です。左旋回だけが得意な飛行機や、胴体の右側にしか荷物を乗せない飛行機は、とても不便で使いにくいでしょうから、対称形が選ばれるのは自然なことです。しかし、注意深く飛行機を調べてみると、左右対称ではない部分もあります。


■プロペラの影響
 たとえば、プロペラで推進力を得ている飛行機では、さまざまな非対称現象が起きています。操縦者から見て時計回りにプロペラが回転する飛行機の場合、図(1)左のように、機体はプロペラの反作用を受けて左の翼が下がる傾向があります。また、プロペラが作り出す気流は時計回りに回転しているので、垂直尾翼には図(1)右のように常に左側から気流が当たり、機首を左に向けようとする傾向があります。


【図1 通常のプロペラ機】

■非対称性を打ち消す非対称形


 1930年代頃の欧州では、この非対称性を打ち消す方法が熱心に研究されており、図(2)のような珍しい形の飛行機が考案されています。操縦席を胴体から分離して右翼に取り付けておくと、余分の空気抵抗によって機首が左に向く傾向が抑えられ、余分の重力によって左翼が下がる傾向が抑えられるという実に大胆で独創的なアイデアです。


【図2 非対称プロペラ機】

■双発の非対称機
 双発のプロペラ機についても、最近になって非対称形の飛行機が開発されています。図(2)左に示した通常の双発機では、左右のエンジンが大きく離れて搭載されているので、片側のエンジンが故障などで停止した場合、機首が急激にそちらの方に向いてしまいます。これに対して、図(3)右のように胴体を2つに分けた上、左右で段差をつけてエンジンを搭載しておけば、2つのプロペラの軸線を近づけることができるので、片発停止の際にも激しい姿勢変化が起きにくくなります。
 しかも右の飛行機では、太い方の胴体の後部に客席が設けられているので、乗客とエンジンとの距離は通常の双発機よりも遠くなっており、騒音や振動が小さく、たいへん快適な乗り心地なのだそうです。
【図3 非対称の双発航空機】

■個性か?信念か?

 以上ご説明したようにプロペラ機の非対称性を打ち消す方法として、さまざまな非対称航空機のアイデアが提案されています。しかし、飛行機の形を対称に保ったままで適用できる非対称対策もたくさんあります。たとえば、一部の単発練習機には、エンジンの回転数に合わせて自動的に舵を操作する制御装置が搭載されており、操縦者が何もしなくても非対称な運動を抑えられるようになっています。
 あえて非対称な形を選ばなくても問題を解決できるのであれば、普通の設計者は過去の開発実績が豊富な対称形を選ぶでしょう。あくまで妥協せず、非対称な飛行機を設計するには、相応の勇気と自信が必要です。事実、非対称形態は、その有効性が確認された後も、ごく一部の設計者しか採用していません。これらの設計者は「個性的」と呼ばれることが多いのですが、本当は自分のアイデアに絶対的な自信を持つ「信念の人」と呼ぶべきかもしれません。


 

 
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