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Chapter 6 飛行機の形、生物の形

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■飛行機の大先輩
 人類が誕生するはるか以前から空を飛んでいる昆虫や鳥の形は、飛行機に似ている部分もありますが、明らかに異なっている部分もあります。どうしてこのように形が違うのか、誰しも一度は不思議に思ったことがあるのではないでしょうか。


■翼の断面を比較すると…
 例えば代表的な航空機、鳥、昆虫の翼の断面形を比較してみると、図(1)のようになります。航空機の翼型は私たちが見慣れた流線型をしています。鳥の翼型は厚みが薄く、前の方がゆるやかに下に曲がった形をしており、低速で大きな揚力を出すのに適したものであることが分かります。しかし、トンボの翼は薄い膜をギザギザに折り曲げたものとなっており、一見とても無駄な形のように見えます。


【図1 翼の断面形】

■小さな渦で抵抗を減らす


 ところが、トンボの羽根と同じ小さな面積の翼を飛行機と同じ流線型の断面で作って空気抵抗を測ってみると、同じ揚力を発生している時の抵抗がトンボの羽根よりも大きいことが分かります。この理由は、翼が非常に小さい時は、図(2)のように翼の表面に小さな渦をいくつか作って、その外側を空気が流れるようにすると直接気流が翼に触れるよりも抵抗が減少するためであることが知られています。  手投げグライダーなど、小型模型飛行機の競技会に出場する人達はこのことを良く知っていて、翼の上に細い糸を貼り付けて意図的に渦を発生させ、トンボの羽根とまったく同様の原理で抵抗を減らす工夫をしています。翼断面そのものを角のある形にして渦を発生させる人もいますが、これもトンボの羽根の応用ということができるでしょう。


【図2 トンボと模型飛行機】

■空中に静止する秘策
 昆虫は空気の渦を実に多様な方法で飛行に利用しており、特に空中で静止する「ホバリング」状態の時、飛行機ではまったく利用されたことがない珍しい原理を用いているようです。図(3)はハチなど小型の昆虫がホバリングの際に利用している「後流捕獲」(ウェイク・キャプチャ)と呼ばれる方法です。これは、羽根を正面に向かって打ち出しながら垂直に立て、羽根の後ろに1対の渦ができたところで渦の間に羽根を止め、渦から吹き付けてくる気流で揚力を生み出すという手の込んだ羽ばたきであることが研究の結果分かっており、ぶんぶんというハチの羽音が生まれる原因の一つとも推測されています。
【図3 渦を利用した揚力の発生】

■自然に学ぼう!

 以上ご紹介したような昆虫の飛行については、近年急速に研究が進められていますが、微小な世界の現象であるため、試験で正確なデータを取ることが難しく、まだ分からないことがたくさんあります。
 一方、機械装置や電子機器を小型化する技術の進歩に伴って、昆虫のように小さいマイクロ航空機を作ろうという気運も世界的に盛り上がりをみせています。若くて優秀な技術者、研究者の人達は、昆虫などの自然から学んだ知識を有効に活用し、今後も飛行機の技術を進歩させてくれることでしょう。


 

 
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