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Chapter 3 機能をまとめ、要素を省く

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■要素を減らしてみる
当所小牧南工場の史料室に復元展示されているロケット航空機「秋水」は、水平尾翼を持たない無尾翼機と呼ばれる形式です。
今回は機体の構成要素を減らした飛行機について考えてみましょう。

■水平尾翼をなくす
 無尾翼機は、水平尾翼が無いため重さが軽く、空気抵抗も小さいという優れた特性をもっています。一方、本来水平尾翼に設けた舵面で行っていた機首の上げ下げに関する操縦を主翼に設けた舵面で代替してやる必要が生じます。その結果、図1のように主翼の舵面を左右対称にも非対称にも動かすことができる操縦装置が必要になり、設計は少し難しくなります。

【図1 無尾翼機と舵面構成】
■さらに胴体もなくす
 無尾翼機からさらに要素を除いていくと、主翼だけしか構成要素を持たない全翼機と呼ばれる形態になります。全翼機は外見上最もシンプルな飛行機ですが、設計には特別な配慮が必要です。エンジン、燃料タンクなど飛行に必要なすべての装備に加えて、通常なら胴体に収めているペイロードも主翼の中に入れなければなりません。また、垂直尾翼の機能も主翼に設けた舵面で代替しなければなりません。


【図2 全翼機と舵面構成】
■胴体だけの飛行機
 具体的には、図2のように主翼に設けた舵面を2枚重ねに設計しておく方法がよく用いられます。この舵面ならば、上下2枚を重ねたまま操作することで図1の無尾翼機と全く同じ操縦が可能であり、片側の主翼だけ2枚の舵面を上下に開くと、開いた側の空気抵抗が増えるので、垂直尾翼がなくても機首の向きを左右に変えることができます。
  全翼形式は、無駄な空気抵抗を削ぎ落とした競技用滑空機や、電波の反射を極限まで減らしたステルス機などに採用されていますが、スピン(錐揉み)に入ると回復しにくいなどのデメリットもあるため、実用化された例はあまり多くありません。

■胴体だけという飛行機も

 胴体の機能を主翼に融合した飛行機が全翼機なら、その逆に主翼の機能を胴体に集約したリフティング・ボディ機という飛行機もあります(図3参照)。


【図3 リフティング・ボディ】

 リフティング・ボディ機は、その名が示すとおり胴体の形を工夫して、主翼なしでも胴体から揚力が得られるようにした航空機です。この形態は、大気圏に再突入した宇宙船を航空機のように滑空させる目的で考案されました。主として宇宙往還機など極めて高速で飛行する特殊な航空宇宙機に採用されています。

■単純な形ほど設計は難しい

 以上ご紹介したように、構成要素を減らした飛行機は、形が単純ですっきりしたものとなり、無駄な要素がない分、重量が軽く、空気抵抗も小さくなります。しかし、少ない構成要素で航空機として十分な機能を実現するために、1つの要素に複数の機能を兼ねさせる工夫が必要となり、設計は通常形態の飛行機よりも難しくなります。
  Chapter4は、機体の構成要素を様々に変形した航空機について考えてみます。


 

 
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