■飛行機の形はいろいろ
今年はライト兄弟が初の動力飛行に成功してからちょうど一世紀。以来100年の間に多種多様な飛行機が作られてきました。これらの飛行機を見ていると、おのおのが個性のある形をしていることに気付きます。同じ空飛ぶ乗り物でありながら、なぜこれほどいろいろな形の飛行機が生まれたのでしょうか?
■要求が変わると形も変わる
飛行機の形が異なる理由の多くは、要求の違いから説明することができます。特異な用途のために開発された飛行機は変わった形をしている場合が多く、平凡な用途の飛行機は見慣れた形をしているものです。今回は個性的な要求は後回しにして、まず、すべての航空機に共通する要求から考えてみましょう。どんな飛行機でも下記の3条件だけは必ず満足していなければなりません。
1)離陸と着陸ができること。
2)運びたいもの(ペイロード)を搭載できること。
3)適切な安定性と操縦性を有すること。
どれも当たり前の要求ばかりですが、これらをきちんと知っておくことが飛行機の形を理解する第一歩になります。
■最も基本的な形を調べてみると…
誰もが知っている基本的な飛行機の形を図1に示します。この形の飛行機が上記の3条件を満足しているか、確かめてみましょう。
この飛行機は揚力を発生するための主翼と地上を滑走するための車輪を持っていますから、離着陸を行うことができます。また、ペイロードを搭載して運ぶための胴体も持っています。安定性を得るための水平尾翼・垂直尾翼もあります。さらに操縦に必要な舵面が尾翼と主翼に設けられています。従って、図1の形は飛行機にふさわしい形であると言うことができます。
■なぜこの形が一般的なのか?
図1のような形の飛行機が最も多いのはなぜでしょう?それは機体を構成する要素が、上記の3条件を満たす上で必要な機能毎に分かれているからです。地上の滑走に使うのは車輪、機体を空中に支える揚力を出すのは主翼、ペイロードを搭載するのは胴体、安定性と操縦性を受け持つのは尾翼と舵面、といった具合に機体の各要素と機能の対応が明快なので設計が容易である、と言い換えても良いでしょう。
■全体の調和
主翼、尾翼、胴体といった要素をただ寄せ集めただけでは飛行機として十分ではありません。全体が一定の調和を満たしていないと飛行機は飛ぶことができません。たとえば飛行機全体の重さに見合った揚力を主翼が発生できないと水平飛行は不可能ですし、全体の重心位置と尾翼面積の関係が適切でないと安定性の悪い飛行機になってしまいます。
■分けること、まとめること
さてChapter2以降、4回にわたって図2のように飛行機の形を少しずつ変えて、いろいろな形の飛行機を考え、今回ご説明した2つの視点からそれぞれの飛行機の特徴と設計の狙いを読み解いていきます。飛行機を構成要素ごとに分け、各要素の持つ機能と要求とを対応づけていく「分けて見る視点」と、飛行機全体のバランスが適切であることを確認する「まとめて見る視点」を交互に切り替えながら、航空機設計のおもしろさをご紹介していきたいと思います。
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