事業本部長メッセージ
航空宇宙事業本部長 常務執行役員 川井 昭陽
[21年度上半期トピック]

三菱航空機(株)提供
宇宙関連で9月11日に多様化する衛星打上げ市場に対応した大型のH-IIBロケット試験機によるHTV(宇宙ステーション補給機)技術実証機打上げに成功しました。またMRJ関連では、9月9日に最新状況説明会を開催し、MRJに対するお客様の意見や先進技術に関する最新の知見を踏まえてMRJをベストセラー機にするための機体仕様確定を発表しました。引き続き10月2日には米国トランス・ステーツ・ホールディングスとMRJ100機購入の覚書締結を発表しております。MRJは今回の受注を機に販売活動に一層弾みがつくものと期待しています。
[防衛]
民主党政権発足により22年度防衛関係費概算要求の見直しが行われ、防衛関係費は当初要求額より減額となりました。また21年度で必要な修正が予定されていた防衛計画の大綱と次期中期防の策定は1年先送りが決定され、今後の動向に注目しています。
当社としては、経団連防衛生産委員会が7月に発表した「わが国の防衛産業政策の確立に向けた提言」にある「適正予算の確保と重要分野への集中投資」、「輸出管理政策の見直しによる安全保障強化と国際平和維持」並びに「長期的観点に立った防衛産業政策の策定」といった施策が安全保障の基礎をなす防衛技術・生産基盤維持・強化のために必須であると考えており、提言内容の具体化を期待しています。
特に重点投資分野として弱体化しつつある戦闘機の国内技術・生産基盤の強化や輸出管理政策の見直しによる装備品の国際共同開発参加は喫緊の課題と受け止めており、これらを包含した包括的・長期的な防衛産業政策を防衛大綱策定とともに検討していただく必要があると考えます。
個々のプロジェクトについても、F-4後継機の22年度予算への織込みが見送られ、19年度契約のF-2(8機)以降、戦闘機の新規契約がない状態が3年の長きにわたって続くことになりました。この結果、今年8月以降装備品メーカの納入が順次完了し、23年9月には当社の戦闘機生産ラインもクローズすることになります。こうした不透明な状況の中、戦闘機の部品製造メーカの中には一部で防衛生産から撤退する動きも出てきており、国内の生産技術基盤が失われつつある事態に至っています。国内の装備品メーカの撤退は自衛隊の運用支援に多大な影響があるだけでなく、わが国としての自主開発・技術力の低下につながります。わが国は現在、この戦闘機国内生産技術基盤の維持に加え、当面のF-4減勢への対処、将来に向けての戦闘機自主開発技術力強化といった課題を抱えておりますが、まずは国内生産技術基盤が自衛隊の戦闘機運用支援に果たしている大きな役割に鑑みて、早急に基盤維持策を講じて頂きたいと思います。
ミサイル関係では、本年9月16日米国にて航空自衛隊による初の国産PAC-3ミサイル発射試験が成功したと伺っており、ミサイル及び地上装置を担当した当社と致しましても大変嬉しく思っており、当社は国内全部隊のPAC-3システム化に大きな期待を寄せております。
[民間機・民間航空機用エンジン]
米国の金融危機に端を発した経済混乱、景気低迷の影響により、777等で当面の生産計画減産の動きがありますが、中長期的に見れば、世界的な航空旅客輸送需要は増加していくものと予想されております。また、787はストの影響や開発途上での変更・改修もあり、初飛行及び客先納入開始が当初予定より2年近く遅れてはおりますが、効率性、環境への配慮等の優位性に変わりなく、スケジュール遅れにもかかわらず、相変わらずこの787に対する需要は底堅く、今後の当社民間機事業の中心として、大いに期待しております。
また、V2500、PW4000といった民間航空機用エンジンも事業拡大、収益性確保により、機体と並んで、当社民間機分野のもう1つの柱に成長して参りました。

三菱航空機(株)提供
MRJは冒頭述べたように米国トランス・ステーツ・ホールディングスとMRJ100機購入の覚書を締結し、全日空と合わせて合計の受注機数は125機(オプションを含む)になっております。今回の仕様確定により、スケジュールを24年第2四半期の初飛行、26年第1四半期の初号機納入に見直しておりますが、MRJのセールスポイントである「高い環境性能」「快適な客室」「優れた運行経済性」が更に強固になり、販売拡大につながると確信しております。
[宇宙]
冒頭述べたように、9月11日にHTV技術実証機を搭載したH-IIB試験機が打ち上げられました。HTVは順調に飛行を続け、9月18日に国際宇宙ステーションとの結合に無事成功、今後ステーションから離脱し、大気圏に突入、廃棄される予定です。H-IIB/HTVともに初号機でしたが、所期の目的を達成し日本の技術水準の高さを世界に示すことができました。HTVは今回宇宙航空研究開発機構(JAXA)が全体を取りまとめましたが、次号機より製造全体の取りまとめについては当社が製造プライムとして担当することになっています。

H-IIB初号機打上げ
以上、防衛、民間機、宇宙とも在来プロジェクトの確実な遂行と新規プロジェクトの円滑な立上げに注力し、事業の伸長を図って参ります。
